日本大百科全書(ニッポニカ) 「東津野」の意味・わかりやすい解説
東津野
ひがしつの
高知県北西部、高岡郡にあった旧村名(東津野村(むら))。現在は津野町の西部を占める地域。旧東津野村は、2005年(平成17)葉山村と合併して、津野町となった。四万十(しまんと)川源流域を占め、林野率は90%を超える。中世、五山文学の双璧(そうへき)とうたわれた義堂周信(ぎどうしゅうしん)、絶海中津(ぜっかいちゅうしん)を生んだ地で、津野山文化が栄えた。林業のほかに、茶、クリ、シイタケ栽培が主要産業。愛媛県境には高位カルスト地形の天狗高原(てんぐこうげん)があり、四国カルスト県立自然公園域で、宿泊施設やカルスト学習館がある。登山客、スキー客が訪れる。不入(いらず)山には四万十川源流点がある。国道197号、439号が通じる。鶴松森南麓(かくしょうもりなんろく)の布施ヶ坂(ふせがさか)は急坂で、古来、須崎(すさき)と宇和島を結ぶ檮原(ゆすはら)街道(197号)の難所であったが、1988年(昭和63)布施ヶ坂トンネルが開通した。高野にある農村歌舞伎の回り舞台は国の重要有形民俗文化財。
[正木久仁]
『『東津野村史』全2冊(1964、1965・東津野村)』