日本大百科全書(ニッポニカ) 「東燃」の意味・わかりやすい解説
東燃
とうねん
かつての精製専業の石油会社。現、ENEOS。1939年(昭和14)、東亜燃料工業の社名で、おもに軍用航空揮発油や航空潤滑油の生産を目的とする国策会社として、日本石油など10社の共同出資により設立された。第二次世界大戦後はアメリカのソコニー・バキュームSocony-Vacuum Corp.(後のモービル)とニュー・ジャージー・スタンダード石油Standard Oil Co. of New Jersey(後のエクソン)が合同設立したスタンダード・バキューム・オイルStandard-Vacuum Oil Co.と提携し、精製専業の石油会社の道を歩んだ。販売部門は、スタンダード・バキューム・オイルの分割に伴い1961年(昭和36)設立されたエッソ・スタンダード石油(後のエッソ石油、エクソンの全額出資)とモービル石油(モービルの全額出資)が担当した(エッソ石油とモービル石油は2002年に合併し、エクソンモービル有限会社となった)。1960年には東燃石油化学を設立し、石油化学事業にも進出。ほかに東燃タンカー・東燃化学などの関係会社があり、清水、和歌山、川崎に製油所をもっていた。1989年(平成1)社名を東燃に変更。
東燃にはエクソンとモービルがそれぞれ25%ずつ出資していたが、1999年、エクソンとモービルの合併に伴いエクソンモービルが議決権の過半数を占める親会社となった。2000年(平成12)7月、エクソンモービル国内子会社の事業統合により、エクソンモービル傘下の精製・販売会社ゼネラル石油と合併し、東燃ゼネラル石油となった。さらに2017年4月、JXエネルギーと合併し、JXTGエネルギー、2020年(令和2)6月、ENEOSとなった。
[橘川武郎 2018年12月13日]
『東燃株式会社編・刊『東燃五十年史』(1991)』▽『東燃株式会社編纂・刊『東燃のあゆみ 自平成元年至平成六年』(1995)』