ENEOS(読み)えねおす

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ENEOS」の意味・わかりやすい解説

ENEOS(株)
えねおす

ガソリン灯油などの石油製品を精製・販売する石油元売りの日本最大手企業。2010年(平成22)に新日本石油ジャパンエナジーが合併し、その後のグループ内の再編で発足したJXエネルギーが、2017年にさらに東燃ゼネラル石油を統合してJXTGエネルギーとなる。国内のガソリン販売のうち約49%(2021年3月末時点)のシェアを占める。系列給油所は約1万2600(2021年3月末)。給油所の名称はかつて、JXエネルギー系「ENEOS(エネオス)」と、東燃ゼネラル石油系「エッソ」「モービル」「ゼネラル」の計4ブランドあったが、2019年(令和1)までに「ENEOS」に統一社名も2020年、消費者に給油所名として親しまれてきた「ENEOS」に変更した。

 日本国内の石油製品需要は人口減少やエコカーの普及などで長期減退傾向にあり、JXTGエネルギー(ENEOS)は2019年に室蘭(むろらん)製造所(北海道室蘭市)、2020年に大阪製油所(大阪府高石(たかいし)市)、2021年に知多(ちた)製造所(愛知県知多市)、2023年に和歌山製油所(和歌山県有田(ありだ)市、予定)での生産をやめ、残る国内11か所の製油所・製造所の統廃合が課題である。また、電力小売り、ガス小売り、燃料電池車向け水素事業などに相次いで参入し、脱石油・新規エネルギー事業の開拓にも取り組んでいる。なお、親会社は持株会社ENEOSホールディングスで、同ホールディングス傘下にENEOSのほか、石油・天然ガス開発のJX石油開発、非鉄金属の製造・販売のJX金属などがある。

 1888(明治21)年創業の有限責任日本石油会社(後の日本石油)が前身。石油元売り業界の再編に伴い、(1)日本石油と三菱石油が1999年(平成11)に合併して日石三菱に、さらに2002年に名称変更した新日本石油、(2)日本鉱業と共同石油が1992年に合併して日鉱共石、さらに1993年に名称変更したジャパンエナジー、(3)東燃とゼネラル石油が2000年に合併した東燃ゼネラル石油、(4)エッソ石油とモービル石油が2002年に合併したエクソンモービル、の4グループが統合してJXTGエネルギーとなり(2017)、さらに名称変更してENEOSとなった(2020)。このため昭和50年代に全国に16社存在した日本の石油元売りのうち、日本石油、三菱石油、九州石油、日本鉱業、共同石油、東燃、ゼネラル石油、エッソ石油、モービル石油、三井石油の10社がENEOSに集約されるかたちとなった。本社は東京都千代田区大手町。資本金は300億円(ENOSホールディングスの全額出資)。売上高6兆1827億円、最終利益686億円、従業員数9348人(2021)。石油元売り企業としては世界第6位の規模である。

[矢野 武 2022年5月20日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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