大正〜平成期の実業家 松下電器産業創業者。
出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報
経営者。和歌山県の農家の三男として生まれる。9歳で小学校を中退し、丁稚(でっち)奉公のため大阪に出る。1910年(明治43)大阪電燈(でんとう)に入社し、工事員、検査員となる。1917年(大正6)同社を退き、改良ソケットの製造販売を行い独立する。翌年松下電気器具製作所(のちの松下電器産業、現パナソニック)を創業し、自転車用電池ランプ、電気アイロンを製造し、大成功を収める。また1930年代に事業部制、連盟店制度、正価販売制など斬新(ざんしん)な経営方法を駆使し、その発展を確固たるものにした。第二次世界大戦後は大量生産でコスト切下げに成功し、販売網の拡充とともに松下電器産業を超一流企業に成長させた。「経営の神様」とよばれるほどその手腕は高く評価されながら、1973年(昭和48)事業の第一線を退いた。
思想啓蒙(けいもう)運動にも尽力し、PHP(Peace and Happiness through Prosperity事業活動の繁栄によって社会の平和と幸福を達成しよう)運動などにも指導的役割を果たしている。また政治への関心を示す一例として、「松下政経塾」の創立(1980)があげられる。経営理念として「水道の哲学」(供給力の増大によっていかなる必要物資も無料同然となる)が有名である。
[石川健次郎]
『『私の履歴書 経済人1』(1957・日本経済新聞社)』▽『『松下幸之助発言集ベストセレクション』全10巻(PHP文庫)』▽『大久光著『志伝・松下幸之助』(1975・波書房)』
経営者。和歌山市近郊の農家の三男として生まれ,生家の事情で9歳のとき小学校を中退,大阪へ奉公に出る。1910年大阪電灯会社に見習工として入社,かたわら関西商工学校夜間部予科に通い14年卒業。17年同社を辞し,みずからの考案による改良ソケット(かの有名な2灯用差込みプラグ)製造に着手,翌18年個人経営の松下電気器具製作所を創設。同社は23年発売の自転車用ランプの成功,また31年のラジオ生産開始で発展,総合電機メーカーとしての地位を確立,35年松下電器産業に改組した(彼は社長に就任)。第2次大戦中は無線用真空管から航空機にいたるまで軍需品を生産,戦後は家庭電化ブームに乗って優れた家電製品をつぎつぎに開発,大量生産・大量販売を進めるとともに輸出販売網を拡充し,〈ナショナル〉のブランド名は世界的になった。松下幸之助は,61年同社会長に就任,73年相談役に退いたが,以後も松下電器グループの総帥として隠然たる力をもち,国土大改造を提案するなどした。一方,思想面でも1946年,物心両面の繁栄によって平和と幸福を招来するというPHP(Peace and Happiness through Prosperity)運動を起こし,PHP研究所を設立,機関誌《PHP》(1972創刊)その他の著作を通じて,発言を続けた。また21世紀の政治,経営の指導者たりうる人材養成のため79年に松下政経塾を設立した。
執筆者:日高 千景
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1894.11.27~1989.4.27
松下電器産業(現,パナソニック)の創立者。和歌山県出身。大阪で丁稚奉公,大阪電灯の見習工をへて,1918年(大正7)松下電気器具製作所を設立。アタッチメントプラグ・自転車用ランプなどの生産で事業を拡大。35年(昭和10)松下電器産業株式会社に改組し,社長に就任。独自の経営哲学・量産量販思想で知られ,「経営の神様」といわれた。またPHP研究所・松下政経塾の設立など社会活動にも力をいれた。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報
…たとえば第2次大戦前の日本では,多くの経営者は〈産業報国〉としてその経営理念を表現していた。また松下幸之助の水道哲学は,良質廉価な製品を水道の水のように豊富に供給するという日本経済の成長期の経営理念であった。日本的経営の要素の一つといわれる終身雇用慣行は第2次大戦後の日本の経営理念にもとづいている。…
…本社,大阪府門真市。1918年,松下幸之助により家庭用電気器具の生産・販売を目的として個人創業された松下電気器具製作所に始まる。生産品目は当初のアタッチメントプラグ,2灯用差込みプラグなどの配線器具類から,アイロン,暖房器具等へと漸次拡大し,29年に社名を松下電器製作所と改称。…
※「松下幸之助」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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