松皮菱(読み)マツカワビシ

デジタル大辞泉 「松皮菱」の意味・読み・例文・類語

まつかわ‐びし〔まつかは‐〕【松皮×菱】

《松の樹皮の割れに似るところから》
紋所の名。大きい菱の上下に、小さい菱を重ね合わせた形のもの。
文様の名。大小菱形を連続させたもの。

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精選版 日本国語大辞典 「松皮菱」の意味・読み・例文・類語

まつかわ‐びしまつかは‥【松皮菱】

  1. 〘 名詞 〙 ( 松の樹皮の割れに似たところから )
  2. 模様の名。大小の菱形を連続したもの。松皮
    1. 松皮菱<b>①</b>〈模様雛形〉
      松皮菱〈模様雛形〉
    2. [初出の実例]「惣身を金薄にて一面に松河菱の様に薄置たる小袖なり」(出典:随筆・むかしむかし物語(1732頃))
  3. 紋所の名。菱形の上下に更に小さな菱形を重ねたもの。松皮。〔壒嚢鈔(1445‐46)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「松皮菱」の意味・わかりやすい解説

松皮菱
まつかわびし

大きい菱の上下に、小型の菱をいくぶん重ねるように取り付けた文様。三階菱(さんがいびし)の一種で、真ん中の菱が大きいところから中太菱(なかぶとびし)ともいう。松皮という名称は、これがマツの表皮をはがしたときの形に似ていることに由来するものであろう。

 これは奈良時代から用いられた文様であるが、ことに流行したのは近世初期(16世紀中ごろ~17世紀)で、辻が花染めや縫箔(ぬいはく)、織部(おりべ)焼の意匠として、あるいは蒔絵(まきえ)の地文として、松皮菱つなぎの形式を用いたもの、あるいは、2種のまったく異なった模様を松皮菱取りでくぎり、対照的な効果を出した意匠など数多くみられる。

村元雄]

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