栗栖(読み)くるす

精選版 日本国語大辞典 「栗栖」の意味・読み・例文・類語

くる‐す【栗栖】

[1] 〘名〙 栗の木が多くはえている土地栗林
皇太神宮儀式帳(804)「亦御栗栖二町。在伊賀郡
[2] (栗の木が多いところから)
[一] 近江国地名。現在の大津市膳所付近にあたる。
[二] 播磨国の地名。現在の兵庫県揖保郡新宮町西北部にあたる。
[三] 大和国の地名。現在の奈良県御所市、葛城市の付近にあたる。
[四] 紀伊国の地名。現在の和歌山県田辺市中辺路町近辺にあたる。

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改訂新版 世界大百科事典 「栗栖」の意味・わかりやすい解説

栗栖 (くるす)

一般には栗の木の多く生えている地をいう。《播磨国風土記》に,揖保郡栗栖里について〈難波の高津の宮の天皇,勅して刊れる栗の子を若倭部連池子に賜ひき。即ち将ち退り来て此の村に殖ゑ生ほしき。故,栗栖と号く〉とある。山城国綴喜郡田原御栗栖(みくるす),愛宕郡栗栖野,宇治郡小栗栖(おくるす),丹波御栖(みくるす),大和国忍海郡栗栖,紀伊国牟婁郡栗栖,同名草郡栗栖などがある。栗栖が歴史的に注意されるのは,それが天皇あるいは神社に対する栗の供御所として,御厨(みくりや)と同様の意味を持つものがあったからである。例えば,伊勢大神宮は〈朝夕御饌供奉〉のための御栗栖2町を伊賀郡に所有していたし,天皇家領として有名な田原御栗栖,丹波御栖は,蔵人所の管轄下で,毎年供御甘栗を調進した。田原供御所の由縁を《宇治拾遺物語》は,壬申の乱の際,田原の里人が大海人皇子に〈高つき(坏)に栗を焼き,又ゆでなどしてまゐらせた〉のによると伝える。
栗作御薗(みその)
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