大学事典 「株式会社立大学」の解説
株式会社立大学
かぶしきかいしゃりつだいがく
学校教育法(昭和22年法律第26号)2条1項の規定により,学校を設置できる主体は国(国立大学法人等を含む),地方公共団体(公立大学法人を含む)および私立学校法(昭和24年法律第270号)に基づく学校法人のみとされている。しかし,2000年代に入り政府の総合規制改革会議等において非営利分野への株式会社参入が議論されるようになり,地域の特別の教育ニーズに対応して学校教育の活性化を図るため,2003年(平成15)の構造改革特別区域法(平成14年法律第189号)の一部改正により,構造改革特区(日本)において学校設置会社(日本)が学校を設置することが可能となった。
2004年4月に株式会社立大学第1号となるLEC東京リーガルマインド大学が開校し,2007年までに7校が開校した。しかし,専任教員確保等の問題で一部に改善勧告が出されたり,私学助成や税制優遇措置が受けられないことなどもあって,定員割れや赤字が目立つようになり,当初から指摘されていた公共性,安定性,継続性等の点で懸念を払拭できないまま,学生の募集停止や,ほかの学校法人への事業譲渡に至った例も現れている(2008年以降,2校の設置者が学校法人に変更され,1校は廃止された)。実績を積み重ね,全国展開のために学校法人化した例も見られるが,全体として十分に定着しているとはいい難い(2016年現在,継続している大学は4校)。主要国の中では,アメリカ合衆国において多数の株式会社立大学(営利大学(アメリカ))が設立され,社会人向けのオンライン授業等を提供しているが,一部の大学における卒業率の低さや高額の授業料等が問題になっている。
著者: 寺倉憲一
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報