日本大百科全書(ニッポニカ) 「根岸信五郎」の意味・わかりやすい解説
根岸信五郎
ねぎししんごろう
(1844―1913)
明治の剣道家。越後(えちご)国(新潟県)長岡藩家老牧野頼母(まきのたのも)の弟で、町奉行(まちぶぎょう)根岸家の養子となった。剣術を好み、1862年(文久2)江戸へ出、神道無念(しんとうむねん)流斎藤弥九郎(やくろう)(2代)に入門し、22歳のとき免許を得、練兵館の塾頭に抜擢(ばってき)されたが、藩命により帰国。戊辰(ぼしん)の役には剣術隊長として転戦した。西南の役後、80年(明治13)東京に出て神田(かんだ)西小川町に道場有信館を創立し、84年『撃剣指南』を刊行、憲兵本部、皇宮警察部において教授した。95年大日本武徳会の第1回武徳祭で演武、精練証を授与され、1906年(明治39)剣術範士となり、武徳流剣術新形制定委員に選ばれた。ついで11年文部省の第1回撃剣講習会で剣道理論を講じ、ついで大日本帝国剣道形の主査委員として、その制定にあたった。
[渡邉一郎]