根差(読み)ねざし

精選版 日本国語大辞典 「根差」の意味・読み・例文・類語

ね‐ざし【根差】

〘名〙
① ねざすこと。地中に根をのばすこと。また、その根。
源氏(1001‐14頃)明石「岩に生ひたる松の根さしも心ばへあるさまなり」
② 生まれた家の家柄素姓(すじょう)出自
※源氏(1001‐14頃)常夏「山がつの垣ほに生ひしなでしこのもとのねざしをたれか尋ねん」
※増鏡(1368‐76頃)一七「もとのねざしはやんごとなき武士なれど」
③ その物事が生じたり起こったりするもと。原因。
※仮名草子・竹斎(1621‐23)上「此六欲に六種のねざし有」
※歌舞伎・金看板侠客本店(1883)序幕「杯の遣り取りからしまひに縺れた遺恨の根差し」
④ 心の底に秘めた考え。秘めたたくらみ。思わく。
※評判記・難波鉦(1680)一「互に約束の違ひたる方から其手形の通り取らんといはば、これ程たしかな事はあるまひといふたが、ねざし思へばこわひ事じゃ」
⑤ 深い結びつき。
浄瑠璃・苅萱桑門筑紫𨏍(1735)五「根ざしの父は顔知らず」
青年(1910‐11)〈森鴎外一一因襲といふものの根(ネ)ざしの強さを感じた」

ね‐ざ・す【根差】

〘自サ五(四)〙 (古くは「ねさす」)
植物土中に根をおろす。土中で根が延びはじめる。根づく。
古今(905‐914)恋二・五九二「滝つ瀬にねざしとどめぬうき草のうきたる恋も我れはするかな〈紀友則〉」
② 原因する。基づく。
※浄瑠璃・曾我会稽山(1718)三「鹿のかはをかぶり、忍び入らんとせしはねざしたる所存有よな」
※志都の岩屋講本(1811)下「人を救はうと云ふ実意から根ざす事で無く」
③ きざす。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「根差」の意味・読み・例文・類語

ね‐ざし【根差(し)】

植物が地中に根を伸ばして深く入ること。また、その根。
ある結果を生じる物事の根源。物事の由来
「かえって小よしとの関係の上に一層深い―を持ち来した」〈万太郎末枯
家柄。素性すじょう
「もとの―賤しからぬ」〈帚木

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