日本大百科全書(ニッポニカ) 「楊朔」の意味・わかりやすい解説
楊朔
ようさく / ヤンシュオ
(1913―1968)
中国の小説家。本名楊毓(よういくしん)。山東省蓬莱(ほうらい)県の人。ハルビンの英語学校に学ぶ。1937年、延安に赴き華北の抗日根拠地を八路軍とともに転戦した。処女作の中編『パミール高原の流れ』(1938)のほか、短編集『月黒夜』を出した。中編の『紅石山』『望南山』は『中国人民の足音』(1952)に収められた。長編『三千里江山』(1953、邦題『長白山脈を越えて』)で朝鮮戦争における中国人民志願軍の活躍を描いた。同戦争に取材したものはほかに『鴨緑江(おうりょくこう)南北』『万古青春』がある。中国作家協会外国文学委員会主任。散文集に『アジアの日の出』『海市』『東風第一枝』などがあり、死後、『楊朔散文選』(1978)が出版された。
[前田利昭]
『島田政雄訳『中国革命文学選15 長白山脈を越えて』(1965・新日本出版社)』