楚雄(読み)そゆう(その他表記)Chǔ xióng

改訂新版 世界大百科事典 「楚雄」の意味・わかりやすい解説

楚雄 (そゆう)
Chǔ xióng

中国,雲南省中部,金沙江より南へのびる小支流,竜川江の上流にある県。楚雄イ(彝)族自治州の中心。雲南高原の西部と東部の中間に位置し,東は省都昆明のある滇池(てんち)盆地に,西は大理に,北へは金沙江流域より四川へ,南へは紅河流域よりベトナムへ通じる交通上の要衝にあることと,高原上の小盆地にあって安定した生産力にも恵まれ,早くから中心集落が発達した。付近に塩井もあって,岩塩集散地でもあった。もともとは爨(そう)と呼ばれた西南異民族の居住地であったが,南北朝時代には中央との交流も盛んになり,漢民族の進出も始まっていた。その後,南詔,大理など辺境国家の境域になっていたが,元代に雲南省が置かれると中央統治の中にくみこまれ,威楚路が置かれ,明初には楚雄府と改められ,県は付郭県として周囲の地域の中心都市となった。解放後1958年,楚雄府と武定府(現,武定県)の領域を合して楚雄イ族自治州が作られ,楚雄がその中心となった。イ族,漢族のほかミヤオ(苗)族,リス(傈僳)族等が居住し,農業を営む。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「楚雄」の意味・わかりやすい解説

楚雄
そゆう / チューシュン

中国、雲南(うんなん)省中部、昆明(こんめい)の西約110キロメートルにある県級市。楚雄イ族自治州の州政府所在地。人口52万1302(2010)。雲南省からミャンマーへ通じる交通の要地にあたり、滇緬(てんめん)自動車道(昆明―瑞麗(ずいれい))が東西に横断している。元代に威楚(いそ)県が置かれ、明(みん)代に楚雄と改称し、1983年に市となった。付近で産出する米、小麦綿糸綿布などの集散地である。またクルミ、クリ、茶、ツバキなどを産し、水稲作のほか葉タバコの生産も多い。石炭が埋蔵されていることでも知られる。市域北東境を成昆線が走る。郊外の万家壩(ばんかは)には春秋戦国時代の墓群がある。

[青木千枝子・河野通博・編集部 2017年2月16日]

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