極渦(読み)キョクウズ(その他表記)polar vortex

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「極渦」の意味・わかりやすい解説

極渦
きょくうず
polar vortex

対流圏中層から上層にかけてほぼ極を中心に存在する低気圧。周極渦ともいう。両極とも地表付近では高気圧があるが,500hPa付近から上層では低気圧となっている。成層圏上部では,夏季には極渦は消滅して極高気圧となる。これは,オゾンによる紫外線の吸収で大気が加熱され低緯度側より高温化するためである。一方,冬季には極の上空に日射がないために,特にオゾン層が冷却して 25km以上の成層圏の高いところほど低気圧性(西風)循環が強くなり,高緯度上空では風速 100m/s以上になることもある。このような強風を極夜ジェットともいう。対流圏での極渦は進長を繰り返し,冬季 550hPa付近あるいはそれ以上の高度ではアジア大陸東岸とカナダ北東部に顕著な気圧の谷を生じる。このようなとき,日本上空には北極の冷たい空気が流入して,異常低温や豪雪をもたらす。

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百科事典マイペディア 「極渦」の意味・わかりやすい解説

極渦【きょくうず】

ほぼ極を中心に存在する大規模な低気圧渦のこと。ここでは対流圏中部から成層圏にかけて強い西風が吹いている。南極域では北極域に比べ,陸地の形などの影響で強い極渦ができる。

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世界大百科事典(旧版)内の極渦の言及

【極圏】より

…一年中氷に覆われているところが多く,夏の気温も低いため樹木は見られない。地上には巨大な高気圧,上層は一大極渦が形成されている。大陸の南極と海洋の北極では極寒の気候とはいえ著しい差があり,地球上でもっとも寒冷な地点(寒極)は南極大陸上にある。…

※「極渦」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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