日本大百科全書(ニッポニカ) 「標準商品分類」の意味・わかりやすい解説
標準商品分類
ひょうじゅんしょうひんぶんるい
商品の生産、出荷、輸出入などの経済諸活動に関する統計について、その正確性、客観性を保持し、相互比較可能性を確保するために、統計調査機関や各国の間で共通に採用されることを目的として、国ごとに、あるいは国際機関によって作成される商品の分類体系の総称。
貿易活動を各国間で共通した基準に基づいて比較しうるようにする目的で作成されているものとして、「標準国際貿易分類」Standard International Trade Classification(略称SITC)がある。これは、国際連合統計委員会の助言、同経済社会理事会の勧告に基づき、国連加盟各国の協力によって、1950年に国連事務局によって作成されたもので、1960年、1974年、1985年、2006年の四度の改訂を経て現在に至っている。これとは別に、関税協力理事会(通称世界税関機構、WCO)は、従来より、国際的に同意された「関税協力理事会品目表」(CCCN)をもっており、1960年の国連によるSITC改訂版はそれとの整合性を確保するためにCCCN分類項目を整理してつくられたものである。1975年のSITC改訂第2版は、1960年以降の世界貿易量の増加、貿易地域や商品構成の変化などを考慮してCCCN項目と1対1に対応するように改訂作業が行われたものであったが、その分類体系では利用する側にとって満足できない部分が認められた。そのため、関税協力理事会はSITC改訂第2版が国連統計委員会によって正式に承認される以前の1973年に「商品名称および分類についての統一システム」(HS)を作成した。HS体系は1983年の関税協力会議で採択され、1988年1月から発効し、CCCNにかわる新しい商品分類として、現在多くの国がこの体系を関税統計に用いている。HSはつねに見直され、2007年改訂を含めてこれまでに四度の改定が行われてきている。
日本では、1949年(昭和24)のセンサスの基礎事業として設定された「日本標準産業分類」に続いて1950年に「日本標準商品分類」が設定されていたが、貿易統計商品分類に関しては、国際統一商品分類(HS)に準拠した輸出入統計品目表、国連のSITCに準拠した標準国際貿易商品分類、それに日本標準産業分類などを参考にして作成された「外国貿易概況品目分類基準表」が使われている。「日本標準産業分類」については、新しい統計法(平成19年法律第53号)に基づく総理府告示により、この分類を公的統計の作成に際しての統計基準とすることが定められているが、「日本標準商品分類」については、その義務づけがない。(新しい統計法に基づく統計基準としては、日本標準産業分類のほかに、「疾病、傷害及び死因分類」が指定されている。現在、統計法に基づく統計基準として設定することについて審議中のものとして、「日本標準職業分類」がある。)したがって、生産統計などにおいては、これを分類基準としつつも、独自の商品分類が採用されている。たとえば公的統計調査としての「工業統計調査」においては、その調査用として作成された「工業統計調査用商品分類表」が用いられており、「生産動態統計調査」においても、調査のつど、産業構造や商業事情の変化に伴って、行政上および統計上の利用目的に照らした品目分類の見直しが行われている。
[高島 忠]