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正実坊 しょうじつぼう

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朝日日本歴史人物事典の解説

正実坊

室町時代の土倉業者。応永年間(1394~1428)ごろより京都に集住し,醸造業や高利貸業によって巨利を得る酒屋,土倉衆が340軒余に上り,なかには巨万の富を得て,幕府の財政を支えるほどの者も現れた。彼らこそまさしく京町衆の最上層民であり,町自治に大きく関与した。室町幕府酒屋土倉役の徴収に当たり,納銭方という役職を設けて酒屋土倉衆の有力者をこれに任じたが,そのなかに正実坊の名がみえる。ただしこれは個人名ではなく,坊名として襲名されたものである。ほかには定泉坊,定光坊,禅住坊など法体の土倉と,沢村,中村,河村など俗人の酒屋も同職にあったことが知られる。納銭方は幕府の財産管理をする公方御倉職につき,名実ともに財政権を手中に収め,相当の実力を発揮した。正実坊は山門の僧侶で,相国寺近辺に土倉を営み,応永年間随一の富豪であった。その財力は,洛中洛外の土地・家屋の集積にも向けられ,当時富裕者を意味した「有徳者,徳人」の名をほしいままにした。<参考文献>『京都の歴史』3巻

(宇野日出生)

出典|朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版
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