此岸(読み)シガン

デジタル大辞泉 「此岸」の意味・読み・例文・類語

し‐がん【×此岸】

仏語。迷いの世界。悩みの多い現実世界。この世。⇔彼岸ひがん
[類語]この世うつし世現世地上人界下界娑婆苦界肉界人間界世界

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「此岸」の意味・読み・例文・類語

し‐がん【此岸】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 仏語。迷いの世界。悩みの多い現実世界。この世。⇔彼岸
    1. [初出の実例]「彼岸に立脚して、馬鹿に神々しくなってしまって、此岸(シガン)がお留守になった」(出典青年(1910‐11)〈森鴎外〉二〇)
  3. こちら側の岸。⇔彼岸
    1. [初出の実例]「ひがんしがんの柳の髪は長く乱るれど」(出典:浄瑠璃・釈迦如来誕生会(1714)三)

この【此】 岸(きし)

  1. 生死輪廻(りんね)を繰り返す迷いの世界。
    1. [初出の実例]「世を海にここらしほじむ身と成て猶このきしをえこそ離れぬ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)明石)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「此岸」の意味・わかりやすい解説

此岸
しがん

涅槃 (ねはん) の境界である彼岸 (ひがん) に対応する言葉煩悩をまんなかに横たわる川の流れにたとえるなら,涅槃の境地が彼岸 (向う岸) であり,それに対し,四苦八苦を経験するこの生死の世界が此岸である。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

仕事納

〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...

仕事納の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android