苦界(読み)クガイ

デジタル大辞泉の解説

《「苦海」から》苦しみの多い世界。生死を繰り返して流転するこの世。人間界。
遊女のつらい境遇。公界(くがい)。「苦界身を沈める

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世界大百科事典 第2版の解説

仏教語。すべての衆生の苦しみが無限であることを海にたとえて苦海(くかい)という。例,〈我,諸ノ衆生ヲ見ルニ,苦海ニ没在セリ〉(《法華経》寿量品)。この海に界の字をあてて苦界とする。例,〈極楽世界に行きぬれば,長く苦界を越え過ぎて〉(謡曲《実盛》)。近世になると,遊女境遇に多く用い,公娼のみならず私娼にも用いる。〈苦界とは見えぬ廓(くるわ)の夕景色〉(《柳多留》72)。江戸時代では奉公契約の年限は最長10年,遊女奉公も同じで〈苦界十年〉という語が生まれる。

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大辞林 第三版の解説

苦しみや悩みの多い世界、すなわち人間世界。
公界くがい苦海の意にとって 遊女のつらい境遇。遊女の世界。公界くがい -に身を沈める 生まれ故郷のなじみの中で-をするも亦よからう/人情本・梅児誉美

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙
① (仏語「苦海」からの語) 苦しみの多い世の中。人間界。娑婆(しゃば)。苦海。
※浮世草子・傾城色三味線(1701)大坂「此苦界(クカイ)にうかうかとの長生」
② (━する) (「公界(くがい)」を「苦海」の意にとって) 遊女のつらい境遇。つらい遊女の勤めをすること。また、遊女の世界。
※俳諧・独吟一日千句(1675)第四「袖の露身の泥川を落されて くかいにすめば月も格別」
※洒落本・郭中掃除雑編(1777)「女郎の恥はぬしの恥、ぬしの恥はわっちが恥、くがいする身の上だから、たのまいではさ」
③ (━する) 苦しい生活を送ること。また、その境遇。
※歌舞伎・韓人漢文手管始(唐人殺し)(1789)三「わしも苦界する身じゃ」
※夢醒真論(1869)〈貞方良助〉「只人は導かざれば悪に陥り、終には苦界に沈む」

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