武昌(読み)ぶしょう

精選版 日本国語大辞典 「武昌」の意味・読み・例文・類語

ぶしょう ブシャウ【武昌】

[一] 中国湖北省武漢市の一地区。武漢三鎮の一つ。揚子江中流の軍事上の要衝にあり、三国時代呉の孫権が夏口城を築いてから郢(えい)州・江夏郡・鄂(がく)州・武昌路・武昌府の中心都市となり、湖広省湖北省の省都となった。一九一一年辛亥革命勃発の地で、人民共和国成立後、漢陽漢口とともに武漢市を構成。
[二] 中国、三国時代の呉および唐代に、現在の湖北省武漢市の東南、鄂城市に置かれた県名。

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デジタル大辞泉 「武昌」の意味・読み・例文・類語

ぶしょう〔ブシヤウ〕【武昌】

中国、湖北省武漢市の地名揚子江南岸にあり、もと武漢三鎮の一。辛亥革命の勃発の地。ウーチャン。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「武昌」の意味・わかりやすい解説

武昌
ぶしょう / ウーチャン

中国中部、湖北(こほく)省の省都武漢(ぶかん)市の市轄区。同省中東部の長江(ちょうこう)(揚子江(ようすこう))南岸に位置する。人口105万6137(2015)。三国時代に孫権(そんけん)が築いた夏口城(かこうじょう)に始まり、晋(しん)の初めに沙羨(さい)県が設けられ、隋(ずい)以降、江夏(こうか)県となった。また隋・唐・宋(そう)代に鄂州(がくしゅう)または江夏郡の治所も置かれたが、元代には武昌路、明(みん)・清(しん)代には武昌府とよばれ、湖広省の省都であった。1949年、市街地は武漢市の一部となったが、農村部は武昌県として残った。武昌県は1995年に区制施行し、江夏区となった。

 辛亥(しんがい)革命が始まった地で、現在は青山(せいざん)区の武漢鋼鉄のコンビナートをはじめ多くの工場が建ち並ぶ。武漢大学など高等教育機関も多く、区内の教育研究機関の密集度は北京(ペキン)市海淀(かいてい)区に次ぐ。李白(りはく)の詩に歌われた黄鶴楼(こうかくろう)(1985年再建)や辛亥革命武昌起義記念館などの観光名所がある。なお、三国時代以降清末までの武昌県は、今の鄂州(がくしゅう)市にあたる。

[河野通博・編集部 2017年8月21日]

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改訂新版 世界大百科事典 「武昌」の意味・わかりやすい解説

武昌 (ぶしょう)
Wǔ chāng

中国,湖北省東部の都市。漢陽,漢口とともに武漢市を形成し,湖北省の省都である。漢水河口の対岸,長江(揚子江)の東岸に位置する。三国時代に呉の孫権がここに夏口城を築き,のち武昌郡の治所となった。晋が汝南県を置き,南朝宋も汝南県を置いた。隋は江夏県とし,唐では武昌軍節度使の駐地となり,五代,宋には鄂(がく)州,元では武昌路,明・清では武昌府の治所となり,明の湖広省,清の湖北省の省都とされた。この地は長江中流の要衝で,水上交通の一中心でもあったので,古来から南北勢力必争の地となったが,ことに宋末1259年(開慶1),モンゴルのフビライはこの地を包囲し,一挙に宋を滅ぼそうとした鄂州の役は有名である。また近代においては1853年(咸豊3),清軍と太平天国軍との間に激しい攻防戦が展開され,武昌は太平軍に占領された。1911年の辛亥革命はこの地を拠点として開始されたことはあまりにも有名である。その後の革命運動史においてもこの地と関係をもつ事件は多い。現今の市街は清末,張之洞の近代化策により改造されたのが基礎となっており,明初に築かれた城壁も1928年に撤去されて近代都市の形態が整えられた。新中国成立後は武昌,漢陽,漢口は2本の鉄道と3本の道路によって結合され,武昌には省都の政治中枢が集中するだけでなく,武漢鉄鋼コンビナートの所在地として工業の中心ともなっている。また付近には黄鶴楼をはじめ名勝旧跡も多い。
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旺文社世界史事典 三訂版 「武昌」の解説

武昌
ぶしょう

中国湖北省東部,長江と漢水の合流点にある武漢 (ウーハン) の一地区
漢陽とともに古くから天然要害を利用した城市が築かれていた。辛亥革命の発祥地としても有名。現在は漢口を合わせて武漢市をなし,省政府が置かれている。

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百科事典マイペディア 「武昌」の意味・わかりやすい解説

武昌【ぶしょう】

武漢(ぶかん)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「武昌」の意味・わかりやすい解説

武昌
ぶしょう

ウーチャン(武昌)」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の武昌の言及

【武漢】より

…人口449万(1994),面積2746km2。長江(揚子江)と漢江の合流点に位置し,武昌,漢陽,漢口の3都市を合併して成った。古くはこの三つを併せて武漢三鎮と称され,交通の要衝でもあったので群雄必争の地となった。…

※「武昌」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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