民間軍事会社(読み)ミンカングンジガイシャ

百科事典マイペディアの解説

民間軍事会社【みんかんぐんじかいしゃ】

政府と契約して,軍事,警備・警護,情報収集,兵站(へいたん),輸送,戦闘員訓練,戦略戦術プランなど軍事関連業務を担う営利会社。新しい形態の傭兵組織といえる。PMC(Private Military Company)などの呼称があるが,PMSC(Private Military and Security Company)が公式の略称である。冷戦終結後の1990年代にアメリカやイギリスなどで次々に誕生し,軍事予算削減を目ざす各国政府から業務を受託して成長した。しかし,戦闘員は戦時国際法の戦争犯罪の規程を免れるため,犯罪的な残虐行為を請け負う可能性もあり,規制強化が国際的課題となった。民間軍事会社は冷戦後の兵力削減やアフガニスタン,アフリカ,イラク,シリア等の紛争を背景に訓練された元軍人・兵士らを多数抱え,最新鋭兵器を装備しているといわれる。軍事会社によってはきわめて高額な報酬設定をしている会社もあるといわれる。市場規模は数千億円を超え,人員は10万人以上と推定される。アメリカ,イギリス,中国など主要17ヵ国は2008年スイスのモントルーの国際会議でモントルー文書を採択,民間軍事会社の活動を規制することで合意している。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

民間軍事会社
みんかんぐんじがいしゃ
private military and security company

軍事、警備・警護、情報収集、兵站(へいたん)、輸送、戦闘員訓練、戦略アドバイスなどの軍関連業務を担う民間会社。PMSC(複数形はPMSCs)ともよばれる。冷戦終結後の1990年代にアメリカやイギリスなどで次々に誕生し、軍事予算削減を目ざす各国政府から業務を受託して成長した。ただイラクやアフガニスタンなどで民間人殺傷などの不祥事を起こしており、規制強化が課題となっている。
 洋の東西を問わず古来、傭兵(ようへい)は存在したが、民間軍事会社は冷戦後の兵力削減を背景に、訓練された元軍人らを多数抱え、最新鋭兵器を装備しているといった特徴をもつ。軍事会社によっては、報酬が日当1000ドルを超える高額な場合もある。市場規模は3000億円を超え、要員は10万人以上に上ると推定されている。
 アメリカ海軍特殊部隊SEALs(シールズ)を退役したエリック・プリンスErik D. Prince(1969― )が1997年に設立したブラックウォーター社Blackwaterが有名。近年、紛争地帯で治外法権であるかのようにふるまう民間軍事会社の不祥事が次々と明るみに出た。このためアメリカ、イギリス、中国など主要17か国は2008年、民間軍事会社の活動を規制することで合意した。ブラックウォーター社も、イラクで民間人殺傷事件を起こしてアメリカ政府から契約を解除され、2009年にはイメージ・チェンジのため社名をズィー社Xeに変更した。[編集部]

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