日本大百科全書(ニッポニカ) 「気候誌」の意味・わかりやすい解説
気候誌
きこうし
各地の気候の特色を記述した記録。気候誌の目的は、それぞれの地域の気候を明らかにすることであり、いわゆる地理学上の発見の時代(大航海時代)に重要なものであった。その記述の方法は、気候学の発展に伴い、ある地点の単なる月平均値(平年値)などによる表現から、天候や気候を構成する要素値の頻度、またその組合せ頻度、それぞれの季節における代表的な気圧配置と天候の関係、異常天候の出現と気圧配置の関係などまで考慮するようになってきた。気候誌のもつ意義から、多様な目的で利用する利用者の要求に応じられる情報をどのように正確に提供するかが、今後の気候誌の重要な課題となっている。
[吉村 稔]