ヤマブキの茎,タラノキの芯(しん)や細かい木片を彩色して小さく圧縮した細工物。これを酒や水の中に入れると泡をだしながら美しい花鳥や人形となって浮かんでくる。おもに各種の花を題材としたのでこの名がついた。江戸時代に中国から渡来したものらしい。延宝年間(1673-81)のころから酒席の遊びとして杯に浮かべて楽しんだので,〈酒中花〉あるいは〈杯中花〉ともよばれた。1695(元禄8)刊の《西鶴俗つれづれ》(井原西鶴)には〈桜をあるとき酒中花にしかけて〉とあり,同じくその挿絵に〈長さき酒中花つくり花からくり〉と記した看板が描かれている。一種のからくり細工として長崎あたりから流行してきたらしい。明和年間(1764-72)ころからは江戸の浅草寺(観音様)参道の楊枝店(ようじみせ)(美人を看板にしてようじなどを売った)でこの酒中花も売り,盛場の名物として流行した。現在は夏の景物玩具で縁日の夜店などで売られる。
執筆者:斎藤 良輔
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
ヤマブキの茎、タラの木の芯(しん)や細かい木片に、彩色して小さく圧縮し、酒または水を入れたコップの中などに入れると、泡(あわ)を出しながら美しい花鳥、人形となって浮かぶ玩具(がんぐ)。おもに各種の花を題材とし、水中で開くのでこの名がある。俳諧(はいかい)では酒中花ともいい、夏の季語。江戸時代、延宝(えんぽう)年間(1673~81)のころから酒席の遊びとして、これを酒杯に浮かべて楽しんだ。1678年(延宝6)刊の『誹諧(はいかい)江戸新道』に、「酒中花やみぬ唐(もろこし)のよし野川」の句がある。杯中花ともよばれた。また1695年(元禄8)刊の『西鶴(さいかく)つれづれ』には、「桜をある時酒中花にしかけて」とあり、その挿絵に、「長さき酒中花つくり花からくり」と記した看板を描いている。中国から長崎あたりに伝えられたものらしい。明和(めいわ)年間(1764~72)ころからは、江戸・浅草観音の楊枝店(ようじみせ)で売られ、名物となった。現在も夏の縁日の夜店などにみられる。
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