改訂新版 世界大百科事典 「タラノキ」の意味・わかりやすい解説
タラノキ
Aralia elata(Miq.)Seemann
山の道ぞいや二次林に多いウコギ科の落葉低木。英名はangelica tree,Hercules'-club,devil's-walking-stick。幹は単一またはわずかに分枝して直立し,高さ2~4m,樹皮の表面には鋭いとげが多数ある。葉は2回羽状複葉で大きく,長さ1mに達し,幹の上部に集まって互生する。葉柄や羽軸にも直立した鋭い針状のとげがある。小葉は卵形で鋸歯があり,裏面は白色を帯びる。花は5弁で小さく,球形の散形花序が幹の先端につく大型の円錐花序に多数生じ,8月ごろに開く。果実は球形で径約3mm,秋に黒く熟し,中には5個の核がある。若芽(タラの芽)は春の代表的な山菜で,独特の香味が喜ばれ,あえ物や煮物,てんぷらやいため物にして食べ,山仕事をする人たちは,そのままたき火で焼いてみそをつけて食べる。日本全土,中国北部,サハリン,アムール,ウスリー地方に分布する。変種のメダラvar.canescens(Fr.et Sav.)Nakaiは葉の裏に淡褐色のちぢれた毛が多い。
執筆者:村田 源 漢方では中国産のタラノキに似たA.chinensisL.の材を楤木(そうぼく),樹皮を楤木白皮として薬用にするが,タラノキの材や樹皮も同様に利用される。また根の皮はたら根皮という。サポニンを含み,民間で糖尿病に応用する。
執筆者:新田 あや
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報