水走(読み)みずはや

日本歴史地名大系 「水走」の解説

水走
みずはや

河内郡条里制の里名に由来する中世水走氏所領。市域中部の恩智おんぢ川に沿う低地に位置した。寿永三年(一一八四)二月日の源康忠解(西宮重美氏所蔵文書)に、「水走」は「重代相伝地」と述べているのが所領としての初見である。中世河内郡の条里呼称としての水走は、建長四年(一二五二)六月三日の藤原康高譲状案(水走文書)に記された「私領四箇里」のなかに「同郡七条水走里卅六町」とみえる。現在水走みずはいには式内社大津おおつ神社が鎮座し、古くより開けた水辺の地であったと思われ、水走という名も当時の大和川とその流域沼沢の水の動きに由来するものであろう。

平安時代の末頃、水走の地は河内郡有福ありふく名と称する大型の名田(いわゆる別名)に属し、水害などのため荒廃地となっていたらしいが、天養年中(一一四四―四五)に、河内国の皇室領大江おおえ御厨山本やまもと(現八尾市か)河俣かわまた執当職をつとめる大舎人允藤原季忠が河内国司の庁宣を賜って同地を開発し、国衙への負担(万雑公事)を免除され、これを「有福名水走開発田」と称し重代相伝の地として領有した(前掲寿永三年源康忠解)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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