改訂新版 世界大百科事典 「決算報告書」の意味・わかりやすい解説
決算報告書 (けっさんほうこくしょ)
決算の最終手続として作成される書類を総括する用語であるが,具体的には,商法では計算書類,証券取引法や企業会計原則では財務諸表といわれるものを総称する用語である。
商法によると,取締役が毎決算期に作成し,取締役会の承認を受けることが義務づけられている書類(計算書類)は,(1)貸借対照表,(2)損益計算書,(3)営業報告書,(4)利益の処分または損失の処理に関する議案(通常〈利益処分案〉という),(5)付属明細書,である(商法281条1項)。
この五つの書類は,監査役の監査を受けなければならず(同281条2項),また,定時総会の会日の2週間前より5年間本店に,その謄本を3年間支店に備え置くことが義務づけられている(同282条)。(1)~(4)の書類は株主に対する総会招集通知に添付して,直接送付しなければならない直接開示書類であり,(1)~(5)の書類は会社に備え付け,株主や債権者の請求に応じ閲覧させる義務のある間接開示書類であり,貸借対照表および損益計算書またはその要旨は一般投資家大衆に対し公告しなければならない書類である。なお計算書類とは,会計的観点からすると,取締役が作成しなければならない書類のうち,会計監査人の監査対象となる書類(監査特例法13条)のことをいうものと解されなければならない。
執筆者:武田 隆二
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報