(読み)フツ

デジタル大辞泉 「沸」の意味・読み・例文・類語

ふつ【沸】[漢字項目]

常用漢字] [音]フツ(慣) [訓]わく わかす
水が煮え立つ。「沸点沸騰沸沸煮沸鼎沸ていふつ
わき出る。「沸沸

にえ【沸/×錵】

日本刀の刃と地肌との境に現れる、銀砂をまいたように輝いて見えるもの。→匂い4

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

普及版 字通 「沸」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 8画

[字音] フツ・ヒ
[字訓] わく・わきたつ

[説文解字]

[字形] 形声
声符は弗(ふつ)。〔説文〕十一上に「畢沸(ひつふつ)、濫泉(かんせん)なり」とあるのは、〔詩、大雅、瞻(せんぎょう)〕「沸(ひつふつ)たる檻泉(かんせん)」の句によるもので、畢沸・沸は、泉の湧きあがる音を写した双声の語。湯の煮えたぎつことを沸騰という。わきあふれるさまを沸沸鬱のように、畳韻の語とすることが多い。また怫(ふつ)に通じて用いる。

[訓義]
1. わく、わき出る、わきたつ。
2. にえ湯、にえたつ。
3. そそぐ、さわぐ、なみたつ。
4. 怫と通じ、いかる。

[古辞書の訓]
〔名義抄〕沸 ワク・ワカス・タギル・アハ 〔字鏡集〕沸 イヅミノワキイヅル・タギル・アハ・ワク

[熟語]
沸渭・沸・沸鬱・沸海沸潰・沸起・沸議・沸響沸乎沸膏沸羹・沸唇・沸声・沸泉沸鼎・沸伝・沸騰・沸湯・沸白沸靡・沸沸沸沫・沸涌・沸揚・沸踊・沸乱
[下接語]
沸・沸・海沸・激沸・喧沸・滾沸・煮沸・焦沸鼎沸騰沸糜沸・畢沸・沸・粉沸・沸・奔沸・麻沸・湧沸・沃沸・流沸

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【日本刀】より

…これを刃文(焼刃)という。刃文を構成している粒子が〈沸(にえ)〉と〈匂(におい)〉であって,ひじょうに細かくて肉眼で見分けられないほどのものを匂といい,銀砂子をまいたように粗い粒のものを沸といって区分するが,要は粒の大小の差であって,科学的には同じ組織である。刃文は形によって〈直刃(すぐは)〉(まっすぐの刃文)と〈乱刃(みだれば)〉に大別され,直刃には刃の幅の広狭により〈細直刃〉〈広直刃〉〈中直刃〉などの別があり,乱刃には形によって,〈丁子乱(ちようじみだれ)〉(チョウジの花の形に似るという)や〈互の目(ぐのめ)乱〉〈三本杉〉〈濤瀾(とうらん)乱〉〈のたれ(湾れ)〉などがある。…

※「沸」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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