改訂新版 世界大百科事典 「油溶染料」の意味・わかりやすい解説
油溶染料 (ゆようせんりょう)
oil color
solvent dye
主として有機溶剤,合成樹脂,油脂などの着色に用いられる染料の部属で,一般に単なる溶解現象で有機溶剤や展色剤を着色する点に特徴がある。この部属の染料が溶解するためには,染料のもつ極性が重要であり,分散染料よりさらに非極性であることが必要である。したがってスルホン酸基やカルボン酸基はあってはならず,非極性を与えるためアルキル基がしばしば置換する。分子自体も溶解するためには,あまり大きくてはいけない。このような理由で,モノ・ジスアゾ系,金属錯塩型モノアゾ系,アントラキノン系が多く,フタロシアニン系,トリフェニルメタン系も使用される。印刷インキ,金属用印刷インキ,ボールペンインキ,透明な着色塗料,合成樹脂着色,油脂,燃料,セッケン,ワックス,外用医薬,化粧品の着色に広く使用される。
執筆者:新井 吉衞
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報