洪武正韻(読み)こうぶせいいん(英語表記)Hong-wu zheng-yun

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

洪武正韻
こうぶせいいん
Hong-wu zheng-yun

中国の韻書。明の洪武帝の勅命によって,楽韶鳳 (がくしょうほう) ,宋濂 (そうれん) ら,モンゴル人1人を含む 11人が編集。 16巻。洪武7 (1374) 年成立。平声上声去声各 22韻,入声 10韻,計 76韻に分類される。この頃の韻書の多くが,単に『切韻』や『広韻』の韻目を合併していくだけという安易な方法であったのに対し,本書にはあらためて字音を吟味し再編成をはかるという態度がみられる。しかし,序文では「中原 (揚子江以北) 雅音」をもとにするといいながら,実は江南音と折衷していて,音系そのものには矛盾が多い。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典 第2版の解説

こうぶせいいん【洪武正韻 Hóng wǔ zhèng yùn】

中国,明の楽韶鳳,宋濂らが勅命により編纂,1375年(洪武8)に刊行した官定の韻書。序文では中原雅音により旧音の誤りを正すと言い,従来の206韻は,平声,上声,去声各22,入声10,合計76韻に併合されている。文字・訓義のみならず反切も,毛晃父子の《増修互註礼部韻略》を踏襲しており,入声や全濁声母を存するなど南方方言の特徴をもまじえていたため評判が悪く,実際にはあまり用いられなかった。【松尾 良樹】

出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報

世界大百科事典内の洪武正韻の言及

【韻書】より

…伝統的な字音の体系を,時代,地域に応じて多少の変容を加えたものだともいいうる。そのような韻書の代表的なものとして,熊忠《古今韻会挙要》(1297),周徳清《中原音韻》(1324),楽韶鳳らの撰《洪武正韻》(1375),樊騰鳳《五方元音》(17世紀半ばすぎ)などが後につづく。一方で,字書的肥大化を排し,実用簡略化をめざした詩韻の流れがある。…

【東国正韻】より

…子音を表す23母字は,《訓民正音》所載のハングル初声字の例字と合致し,ハングルの成立過程に本書が深く関わっていると考えられる。本書の成立には明の《洪武正韻》(1375)の影響も大きく,書名もこれに倣っている。以前は巻一,巻六の残巻しかなかったが,1972年に完本が発見され,その影印本がある。…

※「洪武正韻」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報

関連語をあわせて調べる