浦上山里村(読み)うらかみやまざとむら

日本歴史地名大系 「浦上山里村」の解説

浦上山里村
うらかみやまざとむら

浦上村の東部から北部を占め、浦上川が南流する。南は長崎村。浦上諸村の総称である浦上村のうちで、幕府領長崎代官支配。慶長国絵図に浦上村と別に「山里村」とみえ、高七六二石余。長崎田畑高付並上納銀石高(長崎拾芥)では山里村分として田一千二一石余・畑六六石余、二六四竈。正保国絵図では山里村として高四六六石余。同国絵図および元禄国絵図に記される木鉢きばち村・家野よの村・おか村・ふち村・本原もとばる村・平野ひらの村・竹久保たけのくぼ村・馬籠まごめ村・平戸小屋ひらどごや村・船津ふなつ村の一〇ヵ村とともに浦上村を構成する一村であるが、また浦上川を挟んで山里掛と淵掛に分けて扱われる場合は浦上村山里と一括される諸村の総称でもある。「長崎実録大成」では長崎村小名九ヵ郷のうちに浜口はまぐち郷・岡村おかむら郷・荷尾いなのお郷などがみえる。天保三年(一八三二)の御法度一件(長崎代官記録集)では浦上村山里の庄屋散使・助とともに諸郷乙名の惣代が署名している。天保郷帳ではこの一一ヵ村は浦上村として一括され、注記に「古は山里村・木鉢村・家野村・岡村・淵村・本原村・平野村・竹久保村・馬籠村・平戸小屋村船津村拾壱ケ村」とある。山里掛の庄屋は高谷家が世襲し、家野村・本原村・平野村・里村・中野なかの村・馬込まごめ(これらの村は郷とも称された)を管轄した。「増補長崎略史」ではこの六郷のほか元馬込もとまごめ郷・中馬込郷・荷尾郷・岡村郷・浜口郷などもあげる。万延元年(一八六〇)頃の庄屋は高谷官十郎で、散使は山下新兵衛・高谷小一右衛門となっている(「御用留」長崎図書館蔵)。慶応三年(一八六七)支配所の惣絵図作成にあたり「山里」は画料分として二五匁余(毛付高一千五六六石余)の出銀、異宗徒入牢入用賃銭として二〇貫文余(毛付高九三〇石余)の出銭、また大宮御所造立普請入用として国役金一〇両余(高九五一石余)を納入している(「御用留」長崎市立博物館蔵)。旧高旧領取調帳では浦上村山里として高一千六〇六石余。

〔浦上キリシタン〕

慶長八年(一六〇三)浦上家野郷川上に聖女クララに捧げられた教会(サンタ・カララの教会と通称)が建てられた。同一一年からアルヴァレス神父が常駐して信徒の司牧にあたった。一六一二年(慶長一七年)のキリスト教迫害前には浦上・戸根とね不動ふどう山に布教機関としてレジデンシアが置かれていた。一六一三年二月のイエズス会名簿によると、浦上のレジデンシアには一人のパードレ(アントニオ・アルヴァレス)と一人のイルマンがいた(シュッテ「日本歴史史料集」I)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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