(読み)クリ

デジタル大辞泉 「涅」の意味・読み・例文・類語

くり【×涅/×皂】

水底によどむ黒い土。黒色染料に使用される。
こがねの―に黒まず、はちすの水にそまぬが如くなり」〈沙石集・二〉
涅色くりいろのこと。
「―にすれども黒まざるの理なり」〈風流志道軒伝・五〉

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精選版 日本国語大辞典 「涅」の意味・読み・例文・類語

くり【涅・

  1. 〘 名詞 〙
  2. 水の底によどむ黒い土。染料に用いた。〔十巻本和名抄(934頃)〕
  3. くりいろ(涅色)
    1. [初出の実例]「七条織成樹皮色袈裟一領 紺綾裏綾縁」(出典正倉院文書‐天平勝宝八年(756)六月二一日・東大寺献物帳)

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普及版 字通 「涅」の読み・字形・画数・意味


10画

[字音] デツ・ネ
[字訓] くろつち・どろ

[説文解字]
[その他]

[字形] 形声
声符は(でつ)。黒土をまるめた形。〔説文〕十一上に「土の水中に在るなり」とし、日(じつ)声とするが、声が異なり、日はその土をまるめた形である。おそらく土を轆轤(ろくろ)の台上において、回転させて器形を作る意であろう。仏教語では「涅槃(ねはん)」のように、梵語の音訳語に用いる。

[訓義]
1. くろつち。
2. どろ、水底のどろ、しずむ。
3. くろ、くろめる。
4. 泥をぬる、ふさぐ。

[古辞書の訓]
名義抄〕涅 クリ・ハバカル・ソム・ヤム・ハヤル・ツチ・クリニスレドモ 〔字鏡集〕涅 ソム・クリ・クリニス・ハバカル・クリソム・ヤム・クリツチ

[熟語]
涅廁涅歯涅字涅手涅石涅髪涅墨涅面涅文・涅槃

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