消滅則(読み)ショウメツソク

化学辞典 第2版 「消滅則」の解説

消滅則
ショウメツソク
systematic absence of reflection, extinction rule

結晶面(hkl)によるX線反射は,ブラッグ条件が満足されたとき起こるが,その強度は(結晶)構造因子F(hkl)によって決まる.空間格子の種類,らせん軸および映進面有無により

F(hkl) = 0
となり,反射が出現しないことがある.これを消滅則という.たとえば,体心立方格子では

hkl
奇数の場合には回折が現れない.2回らせん軸がb軸方向にある場合には(0k0)反射はkが偶数の場合にのみ出現する.しかし,単純格子や鏡面,対称中心については消滅則はない.消滅則により格子の型,対称性などを判定して,その結晶の属する空間群を決める資料とすることができる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

法則の辞典 「消滅則」の解説

消滅則【rule of absent reflection】

結晶によるX線の回折において,特別な hkl組合せに対応した回折像が出現しないことから導かれた.これは構造因子 Fhkl) がゼロとなるためであり,結晶の対称性によって,各原子の寄与がちょうど打ち消しあうために,特定の面からの反射が観測されないのである.

出典 朝倉書店法則の辞典について 情報

今日のキーワード

苦肉の策

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android