淡島(読み)アワシマ

デジタル大辞泉 「淡島」の意味・読み・例文・類語

あわしま〔あはしま〕【淡島】

淡島神社通称
江戸時代、淡島明神を祭った神棚を持ち、その由来を語りながら門付けをした行者。淡島願人がんにん

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「淡島」の意味・読み・例文・類語

あわしまあはしま【淡島・粟島】

  1. [ 1 ]
    1. [ 一 ] 「古事記」神話で伊邪那岐、伊邪那美の夫婦神が国生みをした際に水蛭子(ひるこ)の次に生まれた島。水蛭子とともに、国土たり得なかった失敗児。
      1. [初出の実例]「くみどに興して生める子は水蛭子。〈略〉次に淡嶋を生みき。是も亦、子の例には入れざりき」(出典:古事記(712)上)
    2. [ 二 ] 和歌山市加太にある淡島神社の俗称。淡島明神。加太淡島神社。
      1. [初出の実例]「粟しまへはだし参りや春の雨」(出典:俳諧・夜半叟句集(1783頃か))
    3. [ 三 ] ( 粟島 ) 新潟県の北、日本海に浮かぶ島。周囲二〇キロメートル、面積九・一平方キロメートルの孤島
    4. [ 四 ] [ 二 ]を舞踊化したもの。
      1. (イ) 長唄「関東小六後雛形(かんとうころくのちのひながた)」の通称名。明和七年(一七七〇)杵屋佐次郎作曲。同年、江戸市村座初演。
      2. (ロ) 新内「傾情音羽滝(けいせいおとわのたき)」の通称名。丹波屋七郎兵衛と遊女音羽との心中事件を扱った豊後節を、明和年間(一七六四‐七二)に、鶴賀若狭掾が改調継承。
      3. (ハ) 新内「種仝薩埵誓掛額(しゅじゅさったちかいのかけがく)」の通称名。河竹黙阿彌作詞。花垣豊蔵作曲。安政六年(一八五九)江戸市村座初演。
  2. [ 2 ] 〘 名詞 〙 淡島明神の小宮をたずさえたり、背負ったりして、その由来を語り、「紀州名草の郡、加太粟島さまへ代僧代参り」などと言って門付けをして歩いた行者。
    1. 淡島<b>[ 二 ]</b>〈人倫訓蒙図彙〉
      淡島[ 二 ]人倫訓蒙図彙
    2. [初出の実例]「粟島殿(アハシマどの)。これが口上一から十、皆誤(あやまり)なれども、それをただす者もなし」(出典:人倫訓蒙図彙(1690)七)

あわしまあはしま【淡島】

  1. 姓氏一つ

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「淡島」の解説

淡島
(通称)
あわしま

歌舞伎浄瑠璃外題
元の外題
関東小六後雛形 など
初演
明和7.7(江戸・市村座)

出典 日外アソシエーツ「歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典」歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の淡島の言及

【蛭児】より

…その名は蛭のような骨なしの体を示している。《古事記》の水蛭子は,イザナキ・イザナミの〈みとのまぐわい〉(聖婚)による最初の子で,同時に生まれた〈淡島(あわしま)〉がやはり不作の子であった。つまりはじめは失敗し,つぎに成功するという説話の型がふまれており,以後,2神は順調に日本の島々を生み出していく筋立てとなっている。…

※「淡島」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android