深層循環(読み)シンソウジュンカン(その他表記)abyssal circulation

デジタル大辞泉 「深層循環」の意味・読み・例文・類語

しんそう‐じゅんかん〔‐ジユンクワン〕【深層循環】

海洋深層流に見られる地球規模の循環大洋をまたいで移動して表層流になり、ふたたび深層流となる。高緯度海域において、海水温度塩分濃度の変化によって駆動する熱塩循環によって生じる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「深層循環」の意味・わかりやすい解説

深層循環
しんそうじゅんかん
abyssal circulation

主水温躍層以深の深海海流系。世界の大洋の深層循環モデルは 1958年 H.ストンメルによって提唱された。海水の温度・塩分・溶存酸素量の特性から,深層水はグリーンランド周辺と南極ウェッデル海でしか形成されないことが分かっていた。ストンメルは深層でも西端強化流があり,大洋の西端に沿って移動しながら,しだいに広がっており,また,大洋の大部分では深層湧昇 (ゆうしょう) があり,主水温躍層の維持に寄与していることを提唱した。その後,ストンメルのこのモデルを実証するような観測結果が報告され,現状では異論を唱える人はいない。しかし,ローカルの問題にまでは適用できず,たとえば伊豆小笠原海嶺の西側のフィリピン海盆の深層循環や,日本海の深層循環については詳しいことは分からず,現在,精力的に研究が進められている。

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世界大百科事典(旧版)内の深層循環の言及

【海洋大循環】より

…これを風成大循環wind‐driven circulation理論という。 ところが,後になって海の表層における大循環のみならず,潜流や深層循環まで含めて現実の海洋を表現するために,海水の鉛直方向の運動を合わせて考慮に入れることが必要となってきた。この場合,重要な役割を果たすのは海水の密度分布とその変化であり,海水の密度を決めるのはおもに温度(熱)と塩分と考えられるから,上記の風成大循環理論とは全く違った観点から大循環の成因を追求することになる。…

※「深層循環」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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