中国,清朝歴代皇帝の実録。太祖10巻,太宗65巻,世祖144巻,聖祖300巻,世宗159巻,高宗1500巻,仁宗374巻,宣宗476巻,文宗350巻,穆宗374巻,徳宗597巻である。徳宗の実録以外は,すべて満州文,モンゴル文,漢文の3種のテキストがある。いずれも写本が数部作られ,北京や盛京(瀋陽)の宮殿,皇史宬(こうしせい)などに保管された。装丁や文字など体裁の相違により,大紅綾本,小紅綾本,小黄綾本などとよばれる。1937年満州国国務院が出版した《大清歴朝実録》は,盛京宮殿の漢文本の影印で,他に乾隆年間(1736-95)に作られた絵入りの《満州実録》8巻と《宣統政紀》70巻の影印が収められている。この影印本の太祖,太宗,世祖の実録は乾隆年間に重修されたものであるが,康煕年間(1662-1722)に編纂されたものは《清三朝実録》とよばれ,その漢文本の重抄本が日本に現存する。順治年間(1644-61)に編纂された太祖,太宗の実録は原本がなお残存している。清の実録は清朝史研究の基礎文献ではあるが,より根本的な檔案(とうあん)などが多数残存しているので,その史料的価値は明の実録に比して低い。
執筆者:神田 信夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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