朝日日本歴史人物事典 「清水春流」の解説
清水春流
生年:寛永3(1626)
江戸前期の儒学者,俳諧師。名は仁,字春流,通称孫三郎,釣虚子,吸月居士と号し,俳名は不存。名古屋の人。少年期より儒ならびに俳諧を嗜み,禅理,易学にも通じた雑学家。尾張俳人選集『尾陽発句帳』の刊行や『続徒然草』の執筆など注目すべき啓蒙活動があるが,晩年には黄檗僧とも交わり彼土の新文化を摂取する。近世初期に通例の,博識を舌講によってひさぐタイプの学者で,朱子学のみならず儒仏老三教一致の志向があったが,本領は心性の工夫浄化をむねとする心学的色彩の濃い道学にあった。漢詩集『釣虚詩集』『難波百絶詩章』『心詩百詠』『桑名百詠』には単なる仲間内の贈答詩や題詠でない内省的なものも混じる。<参考文献>上野洋三「清水春流攷」(大谷篤蔵編『近世大阪芸文叢談』)
(宮崎修多)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報