溶融めっき(読み)ようゆうめっき(その他表記)hot dip coating

改訂新版 世界大百科事典 「溶融めっき」の意味・わかりやすい解説

溶融めっき (ようゆうめっき)
hot dip coating

溶融金属中に被処理材を浸したのち引き上げて表面に金属被覆を形成させる方法で,どぶ漬などとも呼ばれる。被処理材が加熱による変質を受ける温度よりも低い融点の金属しかめっきできない。めっき金属としてはアルミニウムスズ亜鉛,鉛などが用いられる。とくに溶融亜鉛めっきは鉄鋼材料の防食の目的に広く用いられ,ガルバナイジングhot dip galvanizingと呼ばれる。管,線,板,形材など,さまざまな形状のものが処理される。板の場合はとくにトタンと呼ばれる。表面の付着量は,鋼板で30g/m2(厚さ4μm)~300g/m2(40μm)程度であり,形材などでは300g/m2以上の厚目付けが施される。近年はめっき方法の自動化,連続化が進み,付着量の自動制御方法が種々考案されている。処理工程は,一般の表面処理法と同じように,スケール除去,脱脂,洗浄などの前処理ののちにフラックス処理を行い,溶融金属浴に浸される。溶融めっき層の形成は,被処理材と溶融金属との間の反応による合金層の形成,および浴から引き上げたあとの凝固の二つの過程から成る。浸漬時間や引き上げたあとの冷却速度が処理プロセスの制御因子となる。

 溶融亜鉛めっきは,自然環境で鋼材を使用するときの防食手段として広く用いられる。溶融アルミニウムめっき耐熱性,耐硫化腐食性に優れている。この両者に関しては,試験方法,品質規格,作業標準などに関して日本工業規格JIS)が詳細に規定されている。スズは融点も低く,めっきも容易であるが,とくに食品と接して無害であることから,古来食器類のめっきとして使われてきた。鉛の溶融めっきは化学工業用部材や機械部品の防食目的で使われる。とくに鉛に15~25%のスズを合金させためっき鋼板はターンプレートterneplateと呼ばれ,自動車の燃料タンクやラジエーターなどに用いられる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「溶融めっき」の意味・わかりやすい解説

溶融めっき
ようゆうめっき
hot dipping

溶融した金属中に品物を一定時間浸漬(しんし)したのち引き上げ、付着した溶融金属を品物表面で凝固させて金属被覆層を得る方法。鉄鋼の防食を目的として溶融亜鉛めっき、溶融アルミニウムめっき、溶融スズめっき、溶融鉛めっきなどが行われている。溶融亜鉛めっき鋼板はトタン板、溶融スズめっき鋼板はブリキ板、そして15~20%スズを含む鉛‐スズ合金めっき鋼板はターンプレートtern plateとよばれている。溶融めっき法により厚いめっき層が得られるので、長期間防食効果を保てるが、めっき層と下地金属との間にもろい合金層が形成されることが多いので、溶融めっき鋼板の加工性は一般によくない。

[杉本克久]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「溶融めっき」の意味・わかりやすい解説

溶融メッキ
ようゆうメッキ
hot dipping

溶融金属中に被処理材を浸漬し,引上げて溶融金属を表面に被覆する方法。被覆材は亜鉛 Zn,スズ Sn,アルミニウム Al,鉛 Pbなどの低融点金属で,被処理材は主として鉄鋼材料が用いられる。目的は耐食性あるいは耐高温酸化性の向上にある。代表的なものとしては,溶融亜鉛 (トタン) と,溶融スズメッキ (ブリキ) がある。最近は溶融アルミニウムメッキも,美観,耐食性,高温耐酸化性の面から多用されている。

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百科事典マイペディア 「溶融めっき」の意味・わかりやすい解説

溶融めっき【ようゆうめっき】

溶融金属中に被めっき物を浸漬(しんせき)してめっきする方法。俗にどぶ漬とも。亜鉛,スズ,アルミニウムなどのめっきが行われるが,今日では利用度が低い。

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