放射性物質のトリウム232に中性子が衝突して変わるウラン233の核分裂エネルギーを利用する原子炉。燃料はトリウムと少量のウランまたはプルトニウムを混ぜた液体。冷却材には塩を高温で溶かして液体にした「溶融塩」を使う。軽水炉に比べて核兵器原料のプルトニウムの生成量が少なく、核不拡散の観点から有効とされる。液体燃料なので燃料集合体が損傷するリスクはない。一方、液体燃料に溶け出した不純物が配管などに与える影響など、課題も残る。
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出典 共同通信社 共同通信ニュース用語解説共同通信ニュース用語解説について 情報
燃料としてウランやトリウムの低融点塩類を溶融状態で使用する液体燃料原子炉。具体的にはLiF,BeF2,ThF4,UF4などのフッ化物の混合体で低融点のものが使われる(上記成分の混合比が,71.7,16.0,12.0,0.3各モルパーセントの場合,融点は約500℃である)。この原子炉は,燃料液体が冷却材,つまり熱輸送媒体を兼ねており炉構造を単純にできること,その温度が高いので熱効率がよいこと,減速材に黒鉛を使うことによりトリウムを親物質とする増殖炉とすることが可能であること,さらに乾式再処理工程を付設することにより,燃料を連続的に再処理できることなどの特徴を有する。最初航空機用原子炉として着目されたが,その後アメリカのオークリッジ国立研究所で商用原子炉として開発が進められ,1965年よりは実験炉MSRE(molten salt reactor experiment)が運転され,その優れた特性が確認されている。しかしながら,軽水炉の急速な実用化とともに,アメリカ政府の開発意欲は衰え,70年代の末に,その開発が中止された。このため近年のうちに実証・実用化に至る計画はない。
→原子炉
執筆者:近藤 駿介
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
※「溶融塩炉」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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