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漂流老人 ひょうりゅうろうじん

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知恵蔵2015の解説

漂流老人

自宅で暮らせなくなり、安心して最期まで暮らせる場所を得られずに、短期入所できる施設などを転々とする高齢者。このように本人の意思とは無関係に自宅を追われてさまよう高齢者が、一部で「漂流老人」と呼ばれ、深刻な社会問題として注目されている。この問題を取り上げたNHKの番組「終(つい)の住処(すみか)はどこに 老人漂流社会」(2013年1月20日放送)では、高齢者が「漂流」するいくつかのケースが描かれた。身の回りを世話する家族の不在、長期間いられる施設の不足、年金で入居できる低所得者向けの住宅の不足などから、1カ月しかいられないショートステイ(短期入所)を利用して施設などを転々としたり、生活保護を受けてNPO(非営利組織)の運営する無料低額宿泊所で暮らしたりする、というものである。高齢者向けであっても医療施設でなければ、医療が必要になれば退去を迫られる。また、長年ホームレス支援に当たってきた精神科医が書いた『漂流老人ホームレス社会』(森川すいめい著、朝日新聞出版、2013年)でも、仕事や家族、住居を失って路上生活に至った人が描かれている。「漂流」はいずれもささいなきっかけから始まっており、視聴者や読者からは自らに重ね合わせて将来を不安に思う声が多数寄せられている。
問題の背景には、家族や地域社会のあり方や医療・福祉の制度が変化する中で一人暮らしの高齢者が増え、家族に見守られて自宅で最期を迎えることが難しくなっていることが挙げられる。超高齢社会となり、高齢者を巡る様々な問題が指摘されているが、「漂流老人」は尊厳を持って老後を過ごす場所を手に入れることの難しさに焦点を合わせたものだといえる。

(原田英美  ライター / 2013年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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