漢部(読み)あやべ

精選版 日本国語大辞典 「漢部」の意味・読み・例文・類語

あや‐べ【漢部】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 大化前代、中国より渡来した漢氏(あやうじ)部民(べのたみ)総称農業部と品部(ともべ)に大別できるが、その数は多く、いずれも漢人(あやひと)によって統括されて、労役奉仕と生産物貢献に従事した。→漢氏(あやうじ)漢人(あやひと)
    1. [初出の実例]「詔して漢部(アヤヘ)を聚めて其の伴造の者を定めよ、とのたまへり」(出典日本書紀(720)雄略一六年一〇月(前田本訓))
  3. 漢氏の部民が住み着いた地を呼んでいう。
    1. [初出の実例]「漢部の里〈略〉讚芸(さぬき)の国の漢人等(あやひとら)到来(き)たりて此処に居(を)りき。故(かれ)、漢部(あやべ)と号(なづ)く」(出典:播磨風土記(715頃)餝磨)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「漢部」の意味・わかりやすい解説

漢部
あやべ

古代の渡来人豪族東漢氏(やまとのあやうじ)の部民。応神(おうじん)天皇20年に漢氏の祖阿知使主(あちのおみ)が、17県(あがた)の己の党類を率いてきたのが漢部の起源となっている。漢部は直接には、学芸技術の専門職漢人(あやひと)に管理された。

[志田諄一]

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旺文社日本史事典 三訂版 「漢部」の解説

漢部
あやべ

東漢氏 (やまとのあやうじ) に統率される部民
史部 (ふひとべ) ・錦織部 (にしごりべ) ・鞍部 (くらつくりべ) など特殊技術をもって仕える渡来系の品部と,農業に従事する非渡来系の部曲とがあった。

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