濁る(読み)ニゴル

デジタル大辞泉 「濁る」の意味・読み・例文・類語

にご・る【濁る】

[動ラ五(四)]
液体気体などに他の物質がまじりこんで透明でなくなる。「水が―・る」「煙で空気が―・る」⇔澄む
色・音声などが鮮明でなくなる。「―・った声」⇔澄む
精神などが健全でなくなる。けがれる。「欲望で―・った心」
濁音になる。濁点を打つ。「この字は―・って読む」⇔澄む
[類語]白濁汚濁混濁濁す

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「濁る」の意味・読み・例文・類語

にご・る【濁】

  1. 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙 他の要素を含んで純粋でなくなる。
  2. 液体や気体に、別のもの、あるいはよごれたものがまじって透明でなくなる。
    1. [初出の実例]「明日香川下爾其礼(ニゴレ)るを知らずして背ななと二人さ寝て悔しも」(出典万葉集(8C後)一四・三五四四)
  3. よごれてきたなくなる。特に、人の心や世の中の状態についていい、けがれること、邪念・情欲のために清純・潔白さを失うこと、悟りきれないで煩悩に迷うことなどをいう。
    1. [初出の実例]「おほかたの世をも思ひはなれて、澄みはてたりしかたの心も、にごりそめにしかば」(出典:源氏物語(1001‐14頃)宿木)
  4. はっきりしない状態である。
    1. [初出の実例]「顔に愛嬌、眼の張つよく、物ごし少しにごり、色飽(あく)まで白く」(出典:浮世草子・風流曲三味線(1706)一)
  5. 声がしわがれる。
    1. [初出の実例]「人間の音声には黄色いのも濁ったのも澄んだのも太いのも色々あって」(出典:趣味の遺伝(1906)〈夏目漱石〉一)
  6. 濁音に発音する。また、濁点をうつ。〔名語記(1275)〕

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