日本大百科全書(ニッポニカ) 「濾材」の意味・わかりやすい解説
濾材
ろざい
filter medium
濾過の際に用いる固液分離用の多孔材。なお気体と固体を分離する集塵(しゅうじん)にも使用される。濾材には、(1)各種繊維(羊毛、木綿、ガラス繊維、合成繊維、金網など)、(2)有孔金属板、(3)充填(じゅうてん)層(砂、砂利、アスベスト、木炭、珪藻土(けいそうど)など)、(4)多孔体(素焼板、アランダムなど)のような種類がある。そのうち各種繊維のものがもっとも広く使用されるが、著しく腐食性の溶液を取り扱うときは、適当な材質の充填(じゅうてん)層や多孔体を用いることが多い。
一般に工業的濾過の場合、濾過の主要な役割を果たすのは、初めに濾材上に形成するケーキであって、濾材は単にケーキを保持する作用をするにすぎない。したがって濾材の性質として必要なことは、固体粒子の粒径より目が細かいということのほかに次の諸点がある。(1)濾過開始後まもなく、目の中および上に固体が重なり合ってさらに小さな細孔を形成すること(架橋現象)。(2)濾液の流動抵抗が小さいこと。(3)目詰まりをおこさないこと。(4)操作圧力に耐えること。(5)耐摩耗性があること。(6)耐食性であること。(7)表面が滑からでケーキをはがしやすいこと。(8)安価であること。
なお、分析化学において用いられるガラス濾過器には種々の形のものがあり、規格が細かく定められている。ガラス濾過器には、(1)るつぼ形、(2)ブフナー漏斗形、(3)漏斗形がある。各濾過器の濾過板の目の粗さを指定するのに細孔番号1~4が用いられる。
[成澤芳男]