気流中に浮遊している粉塵を分離・捕集する操作。ボイラーのような燃焼装置からの排煙中の煤煙を除去する操作がその代表例であるが,電気掃除機のフィルターや,自動車のエンジンの吸気孔につけるフィルターもこの集塵機の一種である。捕集する粉塵のほうを目的物とする場合に収塵,清浄化した空気など気体のほうを目的物とする場合に脱塵ということがあるが,現在は集塵の語が一般的に用いられている。最近IC工場でみられるように1m3中に100個以内の粉塵という超清浄空気をつくるのもこの集塵である。
集塵方法はその原理に従って次のように分類される。
(1)電気掃除機のバッグのようにろ(濾)布でこして取る方法で,ろ布集塵あるいはバッグフィルター集塵という。ろ布の繊維上に粒子を付着・捕集(繊維による気流のさえぎり作用,粒子の慣性作用による衝突,粒子の拡散作用の利用による)して分離する。サブミクロンの微粒子も捕集でき,集塵効率も高いが,高温条件下では使えない欠点がある。ろ布上に捕集した粉塵の払落しが必要である。ろ布の破れなどに注意する必要がある。ろ布以外にろ紙も使うが,とくにミクロポアフィルターのように多孔質の膜を使う膜集塵も広い意味のろ布集塵に含めることができ,精密な集塵に用いられている。
(2)ろ布の代りにガラス繊維や粒子の充てん層を用いる集塵方法である。粒子の捕集機構はろ布集塵と同じであるが,繊維充てん層は希薄な含塵気流に,粒子充てん層は高温集塵にと特殊な用途に用いられるが,集塵効率はそれほど高くない。
(3)もう一つ大型の装置として広く用いられているものに電気集塵機がある。これは捕集すべき粉塵に電荷を与え,その荷電粒子を電界中を通して捕集するものである。集塵効率はろ布集塵より低いが,ある程度の高温にまで用いることができ,大型化しやすいなどの特徴があって,日本では発電用ボイラーのほとんど全部でこの電気集塵機が用いられている。このほか繊維充てん層の繊維に電荷を加える方法のように,複合的に電気的作用を用いることも行われている。
(4)洗浄も有力な集塵方法で,洗浄集塵と呼ばれる。液滴を降らせる中に含塵気流を通して粒子を捕集したりするわけであるが,これには充てん層や,ベンチュリ管ののどの部分をやや長くしてそこにノズルから水を噴射する構造のベンチュリ・スクラッバーを用いたりする方法も含まれる。ボイラー排ガスなどでは,この洗浄方法で脱硫を行うと同時に集塵も行う。
(5)もっと粗い粒子の捕集には,単に沈降室で重力によって粒子を沈降分離する方法,あるいは気流に旋回流を与えて粉塵を遠心作用によって分離するサイクロンなどが用いられる。これらは当然捕集効率は低いが,高温その他広い条件での使用が可能である点に特徴がある。
→電気集塵
執筆者:神保 元二
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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