火熨斗(読み)ヒノシ

デジタル大辞泉 「火熨斗」の意味・読み・例文・類語

ひ‐のし【火熨斗】

布地しわを伸ばすための道具。底の平らな金属製の器に木の柄をつけたもの。中に炭火を入れて熱し、布地にあてる。
[類語]アイロン

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精選版 日本国語大辞典 「火熨斗」の意味・読み・例文・類語

ひ‐のし【火熨斗】

〘名〙 衣類の皺(しわ)を除く道具。底の平らな焼物容器に木の柄をつけたもの。炭火や燠(おき)を入れて使う。金属製のものもある。今のアイロンに相当する。のし。
仮名草子・尤双紙(1632)上「小袖をぬいては、はりめのしはを、ひのしを以てのぶる」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「火熨斗」の意味・わかりやすい解説

火熨斗
ひのし

裁縫洗濯の付随用具。着物を縫い上げたあとの仕上げや、洗濯物のしわ伸ばしに広く用いられた。へら鏝(こて)が鏝先を熱して使うのに対し、火熨斗は炭火を入れる器の重みと、適度の高温とによってしわ伸ばしをした。小型の水柄杓(みずびしゃく)の形状をしていて、丸くて平らな底部を布地の上に当て、柄(え)を持って押し伸ばすようにして使う。布地を傷めないとあって、重宝がられた。舟底型の炭火アイロン、それを改良した電気アイロンが都市部で普及するようになり、現在ではまったく使われなくなった。

天野 武]

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世界大百科事典(旧版)内の火熨斗の言及

【アイロン】より

…衣服類のしわ伸ばしや形なおしに用いる道具。火熨斗(ひのし)やこても用途は同じ。日本では古くから敷きのしや寝おしが行われ,火熨斗やこての使用は平安時代の《和名抄》にみられる。…

【洗濯】より

…当時のヨーロッパの仕上げ方法が伝わっていると考えられるので,当然アイロンが使用されていただろう。火熨斗(ひのし)やアイロン(異国ごて)を使って外国式仕上げをすることを〈異国張り〉といった。また幕末の佐久間象山は《女訓》の中で〈夫の衣類をば心に入れて,度々見及び垢つきたるをば濯ぎ清め,損ねたるをば取り繕い,いささか粗末なきようにあるべし〉と妻の務めを説いている。…

※「火熨斗」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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