改訂新版 世界大百科事典 「火雷神」の意味・わかりやすい解説
火雷神 (ほのいかずちのかみ)
《山城国風土記》逸文の賀茂神社の由緒を語る伝説に登場する神。名義は赤い閃光を発する雷神。賀茂建角身(かもたけつのみ)命の子,玉依姫(たまよりひめ)は,川上から流れてきた丹塗矢(にぬりや)を取りあげたため孕んで雷神賀茂別雷(かもわけいかずち)命を生む。この丹塗矢がホノイカズチであるという。丹塗矢は,蛇や剣とともに雷神の形象で,とくに人間の女性に通うときの姿である。《古事記》に大物主(おおものぬし)神が勢夜陀多良比売(せやだたらひめ)に通う類似の伝説がある。なお記紀には黄泉国(よみのくに)で伊弉冉(いざなみ)尊の遺骸に生じた八雷の一として〈火雷(ほのいかずち)〉が記されている。
→賀茂伝説
執筆者:金井 清一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報