炭素星(読み)タンソセイ(英語表記)carbon star

デジタル大辞泉 「炭素星」の意味・読み・例文・類語

たんそ‐せい【炭素星】

大気中に酸素よりも炭素を多く含む恒星スペクトル中に炭素に由来する分子吸収バンドが見られる。AGB星または赤色巨星に分類される。

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改訂新版 世界大百科事典 「炭素星」の意味・わかりやすい解説

炭素星 (たんそせい)
carbon star

スペクトルに炭素C2シアンCNなどの炭素化合物吸収帯が著しく強い星をいい,温度がほぼ同じ範囲にあるM型星では酸化チタンTiO,酸化バナジウムVOなどの金属酸化物の吸収帯が強いことと対照的である。このようなスペクトルの違いは化学組成の違いによるものと考えられ,酸素が炭素よりも多いM型星では炭素はすべて安定な一酸化炭素CO分子の形成に使われてしまい,酸素のみが残され種々の酸化物を作るが,逆に炭素星では炭素が酸素より多いため炭素化合物だけができる。炭素星で炭素がこのように多いのは,進化の進んだ星の中心部におけるヘリウム核融合反応の結果できた炭素が,赤色巨星進化の途上で星の表面にまで混合された結果と考えられている。わが銀河系に存在する炭素星の数はM型巨星の数%以下にすぎない。しかし,わが局所銀河群に属する銀河について炭素星の探査が行われた結果,小マゼラン銀河などではむしろ炭素星のほうがM型巨星よりも多く,一般に金属量の少ない銀河ほど炭素星の割合が多いことが明らかにされている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「炭素星」の意味・わかりやすい解説

炭素星
たんそせい
carbon star

通常の星と比べると炭素組成比が明らかに大きい星。スペクトルはR型,N型。大多数は低温赤色巨星だが,高温のものも少数ではあるが発見されている。これは赤色巨星の中心核が炭素を生成しやすい条件を備えていることを示し,化学元素起源にかかわり注目される。

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百科事典マイペディア 「炭素星」の意味・わかりやすい解説

炭素星【たんそせい】

スペクトルに炭素(C2),シアン(CN)などの炭素化合物による吸収帯が著しく強く見られる星。星の内部でのヘリウムの核融合反応で生じた炭素が,星の表面まで混合されたためと考えられている。

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