(読み)エン

デジタル大辞泉 「焉」の意味・読み・例文・類語

えん【焉】[漢字項目]

[音]エン(呉)(漢) [訓]いずくんぞ なんぞ ここに いずくにか これ
ようすを表す語に添える助字状態を示す。「溘焉こうえん忽焉こつえん
「ここに」の意を添える助字。「終焉
難読少焉しばらく・しばらくして焉爾のみ

えん【×焉】

漢文の助字》句末に置いて語調を整え、また、断定の意を表す語。訓読ではふつう読まないが、「我関せず焉」などの場合には読む。

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精選版 日本国語大辞典 「焉」の意味・読み・例文・類語

えん【焉】

  1. ( 漢文の助字 ) 語や文の終わりに置いて語調を整えることばで、断定の意を表わすことが多い。訓読の際は、普通読まないが、冗談めかした表現などに使われ、現在では「われ関せず焉」という成句に残っている。〔伊京集(室町)〕

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普及版 字通 「焉」の読み・字形・画数・意味


11画

[字音] エン
[字訓] いずくんぞ・ここに

[説文解字]
[金文]
[その他]

[字形] 象形
〔説文〕四上に「焉鳥なり。色。江淮に出づ」とするが、〔段注〕に「今未だ何の鳥なるかを審らかにせず」とあり、実体が知られない。烏・於が死烏やその羽の象形であることからいえば、焉も呪的に用いる鳥の象形で、そのゆえに疑問詞にも用いるのであろう。

[訓義]
1. とりのな。
2. この鳥の羽を掲げて、卜い問うことに用いたらしく、「いずくんぞ」「いずこ」のように疑問詞とする。
3. ここに。また終助詞に用いる。

[古辞書の訓]
名義抄焉烏 カラス・クロシ・イヅクソ/焉頭 クハユキ/焉 コレ・ココニ・キハム・イカンソ・イヅクンソ・ナソ

[声系]
〔説文〕に焉声として・嫣など五字を収める。は草木の枯れた色をいう字である。

[語系]
焉ian、安an、烏・惡(悪)a、於ia、于hiuaは声が近く通用する。烏・於は死烏の象、またその羽を呪的に用いる意。焉もその系統の字であろう。

[熟語]
焉烏焉耆焉支・焉
[下接語]
烏焉・鬱焉・介焉・赫焉・奐焉・渙焉・煥焉・闕焉・慊焉・皎焉・溘焉・忽焉・潸焉・終焉・少焉焉・泊焉・炳焉・俛焉・焉・悖焉・悠焉爛焉

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