無礼講(読み)ブレイコウ

デジタル大辞泉 「無礼講」の意味・読み・例文・類語

ぶれい‐こう【無礼講】

身分地位の差や、礼儀作法を無視して行う宴会。「今夜無礼講でやろう」⇔慇懃講いんぎんこう

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精選版 日本国語大辞典 「無礼講」の意味・読み・例文・類語

ぶれい‐こう【無礼講・不礼講】

  1. 〘 名詞 〙 身分の上下の別なく、礼儀を捨てて行なう宴。むらいこう。⇔慇懃(いんぎん)講
    1. [初出の実例]「不衣冠、殆裸形、飲茶之会有之〈略〉此衆有数輩、世称之無礼講〈或称破礼講〉之衆云々」(出典花園天皇宸記‐元亨四年(1324)一一月一日)
    2. 「能く能く其の心を窺ひ見ん為に、無礼講(ブレイカウ)と云ふ事をぞ始められける」(出典:太平記(14C後)一)

むらい‐こう【無礼講】

  1. 〘 名詞 〙 身分の上下・礼儀を捨てて行なう酒宴会合。→ぶれいこう

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改訂新版 世界大百科事典 「無礼講」の意味・わかりやすい解説

無礼講 (ぶれいこう)

身分の貴賤上下の差別なく,礼儀作法なしに催す宴会。平常の社会階梯を一時無視することによって参加者の欲求不満を解消し,結果において既存の社会秩序を維持する役割を果たす。鎌倉幕府打倒の計画にあたって,後醍醐天皇不信の者を選別するために催した無礼講は,日本歴史上有名である。《太平記》に〈猶モ能々其心ヲ窺(うかがい)見ン為ニ,無礼講ト云事ヲゾ始メラレケル。(中略)其交会遊宴ノ体,見聞耳目ヲ驚セリ。献盃ノ次第,上下ヲ云ハズ,男ハ烏帽子ヲ脱デ髻(もとどり)ヲ放チ,法師ハ衣ヲ不着(きず)シテ白衣ニナリ〉と,通常の衣装を脱ぎ,従来の宴会の慣行を無視するのが無礼講であった。無礼講は中世の貴族社会でときおり開催される宴会の方法であった。江戸時代には庶民の間でもおこなわれ,《春色梅児誉美》に〈客も亭主も打混じ,取乱したる無礼講〉とあり,江戸笑話集のうち《無事志有意》に〈時に酒は一ト口づゝ茶の湯にまはして,肴は無礼講〉とある。
宴会
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世界大百科事典(旧版)内の無礼講の言及

【宴会】より

…酒宴の場でおこったことは,その場に居合わせたもののみで処理するという慣習を背景にしたものとみられるが,これは酒宴の場が一種のアジールであったことを示している。後白河法皇が平氏打倒の陰謀を鹿ヶ谷での酒宴で計画し,鎌倉幕府に対する後醍醐天皇の反乱の企てが,無礼講,破礼講といわれた宴席で練られたのも,酒宴の場がアジール的な性格を備えていたからにほかならない。とくに衣冠もつけず裸形同然の姿で行われた無礼講は,日常の礼の秩序を意識的にまったく無視した場を作り出したのであるが,〈群飲佚遊(ぐんいんいつゆう)〉といわれた酒宴は多少ともこうした性格を持っていたといえよう。…

※「無礼講」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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