無配生殖(読み)ムハイセイショク(その他表記)apogamy

翻訳|apogamy

デジタル大辞泉 「無配生殖」の意味・読み・例文・類語

むはい‐せいしょく【無配生殖】

無性生殖の一。通常配偶体上で配偶子が合体する有性生殖によって胞子体を形成するが、無配生殖では、配偶子が受精を介さずに単独発芽・分裂して次世代個体が発生する。シダ植物一部に見られる。無融合生殖アポガミー

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改訂新版 世界大百科事典 「無配生殖」の意味・わかりやすい解説

無配生殖 (むはいせいしょく)
apogamy

英語そのままにアポガミーと呼ばれることも多い。配偶体上において,配偶子囊内で形成された配偶子が合体して次世代の胞子体をつくるのが正常であるが,配偶体の細胞が単独で発生を行って胞子体をつくって単為生殖をすることがあり,これを無配生殖という。また被子植物で,胚囊の卵細胞以外の細胞の単為生殖による場合(助細胞から発生するヒナノシャクジョウや反足細胞から発生するニラなどの例がある)を生殖的無配生殖meiotic apogamyということがある。シダ植物では無配生殖はかなり普遍的な現象であり,この場合,胞子体で無胞子生殖aposporyがみられる。すなわち胞子形成の過程で染色体数の減数はみられないので,胞子体と同じ核相の配偶体(前葉体)が生じ,そこで単為的に胞子体がつくられるのである。シダ植物のうちには,無配生殖によって生活区域の拡大に成功している場合が多く,変異が急速に蓄積されることになって,種分化に重要な役割を果たすこともある。ヤブソテツ属のように,正常状態で無配生殖のみられる生活環をもつものも多く,シダ植物の約10%の種が無配生殖を行っている。被子植物ではセイヨウタンポポヤブマオのなかまなどに無配生殖がみられる。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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