ヒナノシャクジョウ(英語表記)Burmannia championii Thw.

改訂新版 世界大百科事典 「ヒナノシャクジョウ」の意味・わかりやすい解説

ヒナノシャクジョウ
Burmannia championii Thw.

ヒナノシャクジョウ科白色の小型腐生植物。高さ10~20cmになり,地下には球状根茎がある。茎には小さな鱗片葉が互生し,日本では夏~秋,頂部に1~10花がやや頭状に密集してつく。花も白色,花の筒状部は三稜形となり,その頂端部にそり返った小さな3枚の外花被片と,直立した3枚の内花被片をつける。おしべは3本。本州中部以南から東南アジアマレーシア地域まで広く分布し,腐葉に富む林床に生育する。ヒナノシャクジョウ属Burmannia熱帯に約60種あり,その多くは葉緑体をもたない腐生植物であるが,一部の種は発達した緑葉を有し,光独立栄養を営む。

 また,ヒナノシャクジョウ科Burmanniaceaeもヒナノシャクジョウ属と同じように,多くは腐生植物で,熱帯に多く,約16属120種ほどが知られている。日本には,遠距離隔離分布の例として有名なタヌキノショクダイなどを産する。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒナノシャクジョウ」の意味・わかりやすい解説

ヒナノシャクジョウ
ひなのしゃくじょう / 雛錫杖
[学] Burmannia championii Thw.

ヒナノシャクジョウ科(APG分類:ヒナノシャクジョウ科)の多年草。白色の腐生植物で、葉緑素はない。高さ3~15センチメートル。葉は鱗片(りんぺん)状で長さ2~4ミリメートル。8~10月、茎頂に長さ0.6~1センチメートルの花を2~10個固まって開く。花柄はほとんどない。花被(かひ)の外裂片は鈍三角形で長さ約1.5ミリメートル、半開し、内裂片はへら形でより小さい。花期後も花被は落ちない。花筒は翼がない。果実蒴果(さくか)、倒卵形で長さ約2.5ミリメートル。名は、シャクジョウソウイチヤクソウ科)に似るが、全体が小形であることによる。常緑樹林内に生え、関東地方以西の本州から沖縄、および中国南部、インド、スリランカ、マレーシアなどに分布するが、非常に少ない。

[清水建美 2018年10月19日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヒナノシャクジョウ」の意味・わかりやすい解説

ヒナノシャクジョウ(雛の錫杖)
ヒナノシャクジョウ
Burmannia championii

ヒナノシャクジョウ科の多年草。東南アジアに分布し,日本では本州の千葉県以西,南日本にまれに自生し,深山の暗い森林内に生える。腐生植物で茎は直立し,白色で高さ3~15cmになる。根茎はやや球状にふくらむ。葉は鱗片葉だけでまばらにつく。花は白色で8~10月茎の先に2~10個開く。萼片は3枚,花弁も3枚で非常に小さく突起状にみえる。分類学上はラン科近くにおかれる特異な群である。

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