然こそ(読み)サコソ

デジタル大辞泉 「然こそ」の意味・読み・例文・類語

さ‐こそ【然こそ】

[副]
(あとに推量を表す語を伴って)そのことが十分に推察できるさま。さぞや。さぞかし。「遺族気持ちは然こそと察せられる」
そのように。
「―大人びさせ給へど、いときなき御よはひにおはしますを」〈澪標
[類語]さだめしさぞかしさぞさぞやさだめて

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「然こそ」の意味・読み・例文・類語

さ【然】 こそ

(「こそ」は強めの指示助詞副詞的に用いる)
① 副詞「さ」の①を強めたいい方。本当に。そのように。そこまでも。あんなに。
源氏(1001‐14頃)夕顔「さこそ、強がり給へど」
② 文脈上または心理的にすでに存する事物事態を、当然そのようにあるべきだと肯定的に推量する気持を示す。さぞかし。いかにも。当然。
※宇津保(970‐999頃)祭の使「これ、さこそ出立ちもすれ。親ある人の身の才もなくて、豪家を頼み、たからを尽して、したにくぐりをしつつ華やぐ人は、学生にはあらず」
平家(13C前)八「十一月十九日のあしたなれば、河原の風さこそすさまじかりけめ」
③ 文脈上または心理的にすでに存する事物、事態を、そうあるのも無理はないと認めつつ、否定的に拒否する気持を示す。いくら…でも。なるほど…ではあっても。
※新古今(1205)雑中・一六三二「山ふかくさこそ心はかよふとも住まであはれを知らん物かは〈西行〉」

しかれ【然】 こそ

そうであるからこそ。だからこそ。
万葉(8C後)一三・三三〇七「然有社(しかれこそ) 年の八歳(やとせ)を きり髪の 吾同子(よちこ)を過ぎ 橘の 末枝(ほつえ)を過ぎて 此の河の 下にも長く 汝が心待て」

さ‐こそ【然こそ】

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