焼付ける(読み)ヤキツケル

デジタル大辞泉 「焼付ける」の意味・読み・例文・類語

やき‐つ・ける【焼(き)付ける】

[動カ下一][文]やきつ・く[カ下二]
熱した金属などを押して印をつける。焼き印を押す。「下駄屋号を―・ける」
焼いて付着させる。また、めっきをする。「車体塗料を―・ける」
陶磁器などに絵や文字をかいて焼きつけをする。「皿に絵を―・ける」
写真で、原板を通る光を印画紙に当てて画像を形成させ、陽画を作る。プリントする。「キャビネ判に伸ばして―・ける」
強い印象として記憶に残す。「心に―・ける」

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「焼付ける」の意味・読み・例文・類語

やき‐つ・ける【焼付】

  1. 〘 他動詞 カ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]やきつ・く 〘 他動詞 カ行下二段活用 〙
  2. 焼いて印をつける。焼印を捺(お)す。
    1. [初出の実例]「金を以て頬(つら)を焼くに、波方とぞ焼付(ヤキツケ)たる」(出典:源平盛衰記(14C前)三八)
  3. 焼いて付着させる。鍍金(めっき)をする。
    1. [初出の実例]「Argentatus〈略〉またはギンバクヲ ヲシ、yaqitçuqetaru(ヤキツケタル)モノ」(出典:羅葡日辞書(1595))
  4. 陶器に絵や文字を描き、再び窯で焼いて定着させる。
    1. [初出の実例]「五色を焼伝(ヤキツク)る薬、并びに白色を発する薬を看(み)出して」(出典:西国立志編(1870‐71)〈中村正直訳〉三)
  5. 写真で、印画紙にネガを重ね、光をあてて陽画をつくる。
    1. [初出の実例]「その写真を現像して三枚焼付けました」(出典:ノリソダ騒動記(1952‐53)〈杉浦明平〉七)
  6. うれしがらせをいってひきつける。遊里のことば。
    1. [初出の実例]「いかなる大明神どのも此人にはこがね色にやきつけられ給ふべし」(出典:評判記・野郎虫(1660)加川右近)
  7. はっきりと刻みつける。強い印象を与える。
    1. [初出の実例]「稲妻を眸に焼(ヤ)き付(ツ)けるとは是だと思った」(出典:思ひ出す事など(1910‐11)〈夏目漱石一四)

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