牛根(読み)うしね

日本歴史地名大系 「牛根」の解説

牛根
うしね

戦国時代からみえる地名。下大隅郡(下大隅)のうちとみられ、牛禰とも記される。天文一四年(一五四五)四月一八日の島津貴久宛行状(旧記雑録)によると、当時大隅国守護代として清水きよみず城・姫木ひめぎ(現国分市)を拠点に勢力をもつ本田董親に「大隅国之内牛禰三町、同城付辺田三町、二川三町、堺三町」の計一二町が宛行われている。これらの地は現垂水市の牛根麓うしねふもと(地内に辺田がある)二川ふたがわ牛根境うしねさかいに比定され、牛禰と辺田へたが別記されることから、当時の牛禰は牛根城があった牛根麓西部とも考えられるが、判然としない。牛根城は入船いりふね城とも称され、かつてはその名が示すように北は搦手近くまで深い入江となっており(垂水市史)東西は深い谷で、南は二条の空堀で遮断されていた。一説に牛根の領主は暦応年間(一三三八―四二)頃は牛根兵衛五郎道綱といわれ、文明七年(一四七五)銘をもつ居世こせ神社棟札に建部(池袋)宗議、永正三年(一五〇六)銘をもつ同社神鏡に建部宗政とその一族の名がみえ(薩隅日三州他家古城主来由記・三国名勝図会)諸郷地頭系図は天文年間の牛根地頭を平山氏庶流の小川尾張守武明としている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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